書店員がおすすめ 年末年始に読むべきビジネス書7冊

リブロ汐留シオサイト店店長の三浦健さんのおすすめは『SHOE DOG』と『スタンフォード式 最高の睡眠』
一方、三浦さんがあげたもう1冊は、フィル・ナイト『SHOE DOG(シュードッグ)』(大田黒奉之訳、東洋経済新報社)。スポーツブランド、ナイキの創業者が創業の軌跡を振り返った一冊だ。「最近最も売れた本として印象に残った」と三浦さんはおすすめの理由を話す。
名著の漫画版に注目
紀伊国屋書店大手町ビル店の西山崇之さんがすすめるのは、吉野源三郎原作、羽賀翔一漫画『漫画 君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)。「普段はコミックが売れないこの店で売れたのが驚きだった」と西山さんは話す。原作は誰もが知る戦前からのベストセラーだが、名うての編集者が集まって漫画版をつくり、全国的にベストセラーになった。8月の出版直後は地味な存在だったが、人気のテレビ番組が取り上げたことで10月ごろに火が付き、「年配の人も若い人も年齢に関係なく、どんどん買っていく」(西山さん)という売れ行きが今も続いている。

紀伊国屋書店大手町ビル店の西山崇之さんのおすすめは『漫画 君たちはどう生きるか』と『アフター・ビットコイン』
「どう生きるか」というシンプルで深い問いを中学生とその叔父の対話で考えていく内容が、今の読者に強く響いたということだろう。知識やスキルといった直接的に役立つことよりも、生き方そのものを考える契機を、昨今のビジネスパースンは求めているのかもしれない。
もう1冊は金融街の大手町らしい売れ筋本だった中島真志『アフター・ビットコイン』(新潮社)。「売れたという意味では3月に出た『いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン』の方が売れたが、ビットコインの先を見据えた内容が大手町の人たちの関心をとらえた」と西山さんは言う。まさにビットコインの高騰が話題になり始めた10月下旬の刊行で、ビットコインの影の部分に光を当てる一方、中核技術のブロックチェーンの可能性を展望した点が、今読むのにふさわしいと考える理由だ。ビットコインブームは今もさらに盛り上がっている。ブームの行く末を考えたい人には、ちょうどいい一冊になりそうだ。