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 実際、そういうことはなかなかできません。出来が悪いと「やっぱりまだ早いんじゃないか」と思うんだけど、清宮さんは見方が違う。彼はその選手が、責任をもって体を張って守備をやっているかどうか、そして次の攻撃につなげているかを見ているんです。彼は守備をいいかげんにする選手を評価しません。これがわかりやすくていいところなんです。

一流の人材は、「心技体」に「考える力」が加わる。超一流になると、「空間認識能力」がついてくる。

柳氏は「一流になる人には、考える力がある」と話す

柳氏は「一流になる人には、考える力がある」と話す

普通の人に機会を与えて育てる、この流れは企業の経営も同じだと思います。「心技体」という言葉がありますが、一流になる人は、これに「考える力」が加わるんです。清宮さんに話を聞いても、言われたことをそのままやる選手より、自分で考えて工夫できる選手が伸びるらしいんです。

超一流のレベルになると、これに「空間認識能力」が加わります。サッカーの中村俊輔(ジュビロ磐田)が典型例です。彼はピッチであちこちを見ながら鋭いパスを出せる。彼に聞くと、その瞬間瞬間でピッチの全体を理解しているというんです。

空間認識能力は、ビジネスでも大事です。当社は世界中で仕事しているので、どのエリアや事業でどんなビジネスがうまくいっているのか、課題がどこなのかをグローバルな視野で認識する力が必要になります。そのために毎日データを見たり、現地に出かけて状況を把握したりする。

たとえば「インドネシアの工場に投資を決めなければならない」というような場面は必ずあります。それには現地の市場や工場の生産性を認識しなければならない。数字だけではだめなんです。現地にいって自分の目で見なければ。データと現場の両方を知る、これが経営者としての空間認識能力を育てます。経営者として、超一流になるには必要な資質だと思います。

空間認識能力のあるプレーヤーが複数いれば、そのチームは強くなります。1人だと難しいんです。彼らが信頼され、ほかのメンバーとベクトルが一致すれば、勝てるんです。超一流の人材がメンバーに信頼され、チームを引っ張って勝つ。これは企業でも同じではないでしょうか。

柳弘之
 1978年、東大工卒。ヤマハ発動機に入社し、2007年執行役員、09年上席執行役員。10年に社長就任。18年1月から会長に。鹿児島県出身。

(松本千恵)

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