「保険の枠、ITで破壊」 SOMPO社長が語る将来
SOMPOホールディングスの桜田謙悟社長(下)

SOMPOホールディングスの桜田謙悟社長
自動車保険というこれまで中核としてきたビジネスの市場縮小が見込まれている損害保険業界。IT(情報技術)を駆使して新たに保険に参入する新興企業の攻勢にもさらされるなか、ITによる技術革新で従来の損保の殻を打ち破ろうとしているのがSOMPOホールディングスだ。次世代の会社像や人材育成について、桜田謙悟社長に聞いた。
「万が一の保険」だけでは存在意義なし
――従来の保険業を超えた「安心・安全・健康のテーマパーク」づくりを掲げています。どういうビジネスモデルですか。
「保険というのは世界中どこにいっても、まさかのときに備えるものです。子供を残して死ぬとか、家が燃えるとか、車で人をはねるとか、考えたくもない万が一に備えるもので、そこで生じるマイナスをなんとかゼロに戻す役目を果たします。実際に保険金をお支払いするのは、10人のうちの1人。頻度で言えば10年に1回くらい。つまり平時には全く役に立ちません」
「もちろん役に立たないことは、お客さんには幸せなことですが、万が一の保険機能だけで、これが我々の存在価値だといえる時代は終わりました。マイナスをゼロにするだけでなく、できるだけ今の幸せを長続きさせる、できればもっと幸せになる。つまりゼロを維持もしくはプラスに転じるお手伝いをするというのが、安心・安全・健康のテーマパーク構想です」
安心へのサービス、介護・認知症対策も
「テーマパークは楽しくて、幸せを感じられて、しかも食べたり乗ったりと具体的に『体験』ができる場所。我々のサービスを使うことで安心や安全、健康を具体的に体験していただく。そういう意味でテーマパークという言葉を使っています」