社訓は「やんちゃであれ」 エニグモの源流は水戸一高
須田将啓・エニグモ社長が語る(下)
現在のエニグモの事業には、コンピューターとマーケティングという2つのバッググランドが生かされており、それは水戸一高時代から理数系と企画が好きだった自分がたどり着く必然的なゴールだった気がします。その意味では、高校時代に、エニグモを立ち上げるためのレールができあがっていたのだと思います。
2004年にエニグモを設立。運営するバイマは、海外の最新ブランド品を売りたい海外在住者とそれを買いたい国内消費者を仲介するユニークなビジネスモデルがヒットし、会員数が460万人まで膨らんだ。
エニグモには「エニグモ7」と呼ぶ7カ条の経営理念がありますが、その第1条が「やんちゃであれ!」。これは、共同創業した博報堂の同僚と私の共通した価値観でした。私は、学生時代もそうでしたが、社会人になってからも、新人のくせにこっそり車通勤したり、酔っぱらってスーツのまま運河に飛び込んだり、会社のパソコンを改造して怒られるなど、やんちゃな面がありました。
起業した後も、サハラ砂漠やアマゾンのジャングルで250キロメートルのマラソンをしたり、南極でトライアスロンをしたり、本質的な性格は変わってないように思います。法律は遵守する、主義に反したことはしないという一線は守りつつ、困難なことや新しいことにチャレンジしていくベンチャーにはやんちゃな精神も必要だと思います。
エニグモを立ち上げてからこれまでほぼ順調に成長してきましたが、今期はやや足踏みした感も正直あります。でも、よい方に解釈すれば、今期は次の段階に向けていろいろと仕込むことができた準備の年だったと考えています。
バイマほど取り扱うファッションブランドの数が多いサイトは他にありません。世界中にいる個人会員が支えとなっているからで、そこが他社がなかなか真似のできないバイマの強みでもあります。この強みを生かしながら、これからは海外展開にもより力を入れて行く方針です。美容やライフスタイル系の雑貨、インテリアの分野も徐々に拡大していきたい。
ビジネスなのでうまくいかないこともありますが、何が起きても、驚かない、慌てない、動じないという自信はあります。これも、水戸一高時代に、自由を謳歌しつつも無期停学処分を受けるなどいろいろな経験をして度胸がついたおかげではないかと思っています。
(ライター 猪瀬聖)