変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

様々なボランティア活動を通じ、仕事だけでは知り合えない、様々な人と接点を持つことができました。人間関係も広がり、それが巡り巡って新規顧客の開拓へとつながっていきました。

2年目の契約更新で昇給交渉に臨む

実績を携えて、2年目の契約更新では昇給も求めました。頑張って働くのは、次の契約更新で交渉する材料が欲しいからです。欲しい条件を交渉で勝ち取るのは、海外では当たり前です。相手が認めてくれるのをただ待っていても、人は何もしてくれません。

仲間を信じ守るスタンスで同僚・部下の信頼を得た(Waris提供、工藤朋子撮影)

仲間を信じ守るスタンスで同僚・部下の信頼を得た(Waris提供、工藤朋子撮影)

このときは交渉が難航し、私もかなり感情的になってしまい、「希望する額の昇給を認めてくれなければ辞めます」とタンカを切る事態にまで発展しました。最後は総支配人が間に入って仲介してくれて話がまとまったのですが、私はこのとき、一つの学びを得ました。

あまり強引に交渉しすぎると、敵を作りすぎてしまう。反省して、3年目は「昇給は皆と同じでいいから、肩書が欲しい」と要求しました。この要求が受け入れられ、私はそれまでのシニア・セールスマネジャーからアシスタント・ダイレクター(副支配人)に昇進しました。

子育てとマネジメントに共通する4つの「E」

マネジメントとは、「いかに早く次の人に自分の仕事を渡せるか」だと思います。アシスタント・ダイレクターになった当時、私には部下が2人いました。最初は「英語ができない」と言っていた彼らも、私の仕事の仕方やメールの書き方を見て、徐々に仕事を覚えていきました。

マネジメントで思い出すのは、娘が通っていたバンコクのインターナショナルスクールにあるカフェテリアで、数十人のタイ人スタッフをマネージしていたころのことです。私の仕事ぶりを見ていた学校長から「シンシアさんのマネジメントのしかたは子育てそのものですね」と言われました。

子育ても人材育成も、必要なのは3つの「E」だと彼は言いました。一つは「Expectation(エクスペクテーション=期待)」、この人はこれぐらいの能力がありそうだと見極め、それに見合う期待をすること。ただし、期待ばかりしていたら、その人はつぶれてしまいます。その人が期待にこたえられるよう、「Education(エデュケーション=教育)」する。教育も人材育成もここがゴールと示すばかりではだめで、たどり着くのに必要なツールを渡さなくてはいけないということです。

3つめに重要なのは「Encourage(エンカレッジ=勇気づけること、励ますこと)」です。私はこれらに加えて、4つめのEとして「Evaluation(エバリュエーション=評価)」も意識していました。

Evaluationとは、相手を評価するという意味ではありません。自分自身を見詰めることです。指示の出し方にわかりにくいところはなかったか、入れたシステムに問題はなかったか、そうしたことを含めて全体を振り返り、失敗の原因を探ることです。例えば、こんなことがありました。

バンコクのカフェテリアでは、年に何度か、衛生検査が入りました。キッチンスタッフはいつもこの検査で失敗をしていました。パスするために私がまずやったのは、制服の袖に付いていたポケットをなくすことでした。ポケットがあるせいで、スタッフが使用済みのスプーンをそこに差し、何度も使っていたからです。

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