ミス着物は東大リケジョ 挑戦の裏に「悔しい失敗」

ミス着物に選ばれた東大生の岡部七子さん
2018年1月、ミス日本コンテストの「ミス着物」に選ばれた東京大学理科2類1年生の岡部七子さん。ミス日本に出場を決めたのは、芸能界など華やかな世界に憧れていたからではない。岡部さんには薬学系の研究者になりたいという明確な目標がある。14日はバレンタインデーだが、研究に明け暮れ、恋愛経験もないという。内気な性格だという岡部さんは、なぜあえて晴れの舞台に立ったのか。
浦和一女時代に科学の国際大会に
「実はコンテストに出るまでメークもしたことがなく、東大のキャンパスでもいつもスッピンでした。まさかミス着物に選ばれるとは思いませんでした」。岡部さんは、はにかみながらこう話す。まだ19歳、1年前までは埼玉県立の名門女子校、浦和第一女子高校(さいたま市)に通う高校生だった。浦和一女時代のある失敗がミス日本出場のきっかけになったという。
岡部さんは典型的なリケジョだ。小学校3~4年生の頃、腐ったトウモロコシにショウジョウハエの幼虫がたかっているのを見て、「気持ち悪いと思う一方で、なぜ、あんな腐っているものの中で生きていけるんだろう」と素朴な疑問を持った。高校生のとき、心の中で抱いていた疑問に答えを出したくなった。浦和一女はスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受け、生物の実験の環境が整っていた。
そこで大きな「発見」をした。観察を繰り返すうち、「キイロショウジョウバエの幼虫は抗菌作用のある物質を分泌している」ということが分かったのだ。たんぱく質系の新しい抗菌物質を探り出し、高2のとき、全国の高校生の集まる科学大会で認められた。そして高3のときには、米アリゾナ州フェニックスで開かれた「国際学生科学技術フェア(ISEF)」に高校生の日本代表の一人として出場した。
研究成果には自信があったし、英語も得意だと思い込んでいた。しかし、晴れの国際大会はさんたんたる結果に終わった。