「威張る上司はいない」 サイバー藤田氏の人材活用法
サイバーエージェントの藤田晋社長(上)
「5年経過すれば、どこに住んでも5万円支給するようになるんですが、若い人は会社の近くに住んでいる人が多いです。社員が近所付き合いや友達づきあいの延長で仲良くなるので、かっこわるいことはできないという気持ちが自然にわきます。これが倫理観を形作り、不正防止にも役立つ」
――社内結婚が多いと話題になりました。
「男女の比率はほぼ半々で、20代後半の社員がすごく多いですからね。会社が好きな人間が多いから、仕事でつながっているうちに自然とそうなるケースもあるのでしょう。まあ、責任はちゃんととれよというムードもありますしね(笑)」

サイバーエージェントは渋谷を本拠地としている
――意欲が高い人が報われる社風で社内の競争も激しそうですね。
「会社が大好きで、仕事で成功したいと考えている人は確かに多いでしょうね。会社もそうした一生懸命やっている人材を応援します。例えば『これは』と見込んだ社員を選抜し、合宿で今後の会社の戦略を考える『あした会議』があります。役員がそれぞれ5人ほど有望な人材を指名し、色々議論します」
「社長である私が個人的に食事に誘って業績達成のお祝いをしたりすることもしょっちゅうある。皆を平等に処遇するというより、がんばる人を応援する会社です」
関連会社は100社近く、若手にお任せ
――サイバーエージェントは創業当初から子会社を多く設立し、若手に経営を任せることも多いですね。
「かれこれ100近くの関連子会社をつくり、若手に経営を任せています。めぼしい人材はすぐトップに抜てきします。中には採用内定の段階で社長にした例もあります。こうして取り組んだ新事業の成功率は6割程度。社内ベンチャーでは高い確率だと思います」
「変化の速いネットビジネスでは経営モデルをああでもないこうでもないと考えているうちに陳腐化する。私自身が経営をやりながら覚えたから、若手にも『自分でなんとかしろ』と言って、私が手取り足取り面倒を見ません。若手はもがきながらビジネスをなんとか形にしていくのです」
――管理職にはどういう人を選びますか。
「チームリーダーは、年次や実績よりも人格、人柄で選びます。器が大きく、人の力を引き出せる人物です。能力があっても下の人間をつぶしてしまう人を高く評価することはありません」
1997年青山学院大経営卒、98年サイバーエージェントを設立し、2000年に東証マザーズ上場。史上最年少での上場記録として当時話題を呼んだ。
(シニアエディター 木ノ内敏久)