「老後恐怖症」に押しつぶされない! 10のキャリア術
ミドル世代専門転職コンサルタント 黒田真行
先に触れた生命保険文化センターの意識調査では、自分の老後生活に「不安感あり」と答えた人は全部で85.7%。「非常に不安を感じる」人は22.7%もいます。しかし、保険クリニックの調査では、老後に向けた準備をしている人は、20歳から60歳の社会人全体で見ても3分の1しかおらず、3人に2人は不安を抱えながらも何の準備もしていないという状況だそうです。

生命保険文化センター「生活保障に関する調査」平成28年度から作図
日々の生活費に加え、住宅ローン、子供の学費、親の介護費用などを捻出しながら、自分たちの老後資金まで手が回らない状況や、あるいはそれらを負担しながら、老後のための預金を積み立てる努力をしている姿が浮かび上がってきます。ちなみに、老後準備をしている方々の具体策のほとんどは、預貯金や株式、生命保険、介護保険、投資信託などの資産対策となっています。
ぼんやりとした不安を前に、何をどこまでやれば本当に安心できるのかがわからないまま、大半の人々が長い人生を、常に頭の片隅に老後への恐怖を抱えながら過ごすのは大変もったいないと思います。30歳代、40歳代、50歳代と、それぞれの年代で生きている実感を味わい、人生を楽しみながら過ごすために、もやもやとした老後不安とどう向き合うべきか、10のポイントを挙げてみましょう(年金や老後資金など金銭面での対策は、すでにいろいろなところで述べられているのでここでは省きます)。
「老後恐怖症」と闘うための10のポイント
1.自分が働ける残り期間を逆算する
安定的な収入を得られる期間と、予想できる収入額の概算を計算しておくことをお勧めします。特に45歳以降は、徐々に年収が低下する傾向があるので、予想収入は役職定年などを織り込んだシナリオで試算したほうがよいでしょう。(関連記事「転職か否か『仕事余命』で決断、40歳からの働き方」参照)
2.何のために働くのか、目的を定める
働く時間の使い方は、人生の使い道でもあります。特に40歳以上の方であれば、ただ稼ぐだけではなく、自分なりの価値が発揮できることや、力を尽くす価値があると思えることを選んだほうが、自分の中での覚悟が決まり、迷うことが少なくなるメリットがあります。
3.知人・友人・仕事仲間に宣言する
「何のために働くか」が決まったら、できるだけ多くの知人にそれを宣言して知ってもらうことをお勧めします。夢や目標と同じで、どのような目的で生きているかという旗を立てておくと、その実現のために情報や紹介が集まりやすくなり、目的実現が加速する可能性が高まります。