「予算ない筑駒」での経験、AI起業の糧に 西川徹氏
西川徹・プリファードネットワークス社長が語る(下)

西川徹・プリファードネットワークス社長
トヨタ自動車やNTT、日立製作所など名だたる企業と次々と提携し注目を浴びる、人工知能(AI)開発ベンチャーのプリファードネットワークス(東京・千代田)。社長の西川徹氏(35)は、筑波大学付属駒場中学・高校(筑駒、東京・世田谷)時代、パソコンにのめり込んだ。しかし、単なるオタクではなかった。
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筑駒では「パーソナルコンピューター研究部」、通称「パ研」に籍を置いた。
パ研のメンバーは1学年5~6人で、中学高校全部あわせても20~30人ぐらいの所帯でした。みんな私のようなコンピューター大好き人間。
同期にはアルゴリズムを考える能力では私など足元にも及ばない天才もいました。彼とは小学生の時、塾が一緒でしたが、成績は私よりずっとよかった。今は外資系IT企業で活躍しています。パ研の3つ下には、瀬尾拡史君というユニークな後輩もいました。彼は東大医学部に進み医師免許も取りましたが、現在はベンチャー経営者としてもメディアに取り上げられるほど有名になっています。
パ研は、一人ひとりが勝手にプログラムを組んでゲームを作り、それを毎年の文化祭で発表するという活動をしていました。しかし、私が中学の部長になってからは、毎年テーマを決めてみんなで企画を立て、見る人にわかりやすい、統一感のある展示内容に変えました。
筑駒の文化祭は、外部からも大勢の人が見に来る一大イベントです。展示作品の人気投票もあり、優勝すれば部の知名度はアップし、予算も増えます。それまでのパ研は、人気投票の順位も常に下のほうで、周りからはゲームばかり作っている変な部という目で見られていました。そんな評判を何とか変えたいと思っていました。
もともと、人をまとめて何かをするのが好きな性分でした。当時はウィンドウズがものすごい勢いで普及していた時期で、自分も将来、世界にインパクトを与えるソフトウエアを作りたいと夢見ていました。