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 結局、関東では国際医療福祉大学が千葉県成田市に医学部を開設した。

慶応大学医学部長の岡野栄之教授は、「私学の医学部の運営は大変ですよ。国の資金的な支援は大きくない。しかも大学病院の収支というのは、常に厳しい」という。慶応大学病院は、外来患者が1日約3000人という日本有数のブランド病院だが、経営面では決して楽ではない。

医学部新設にも意欲的な鎌田総長

医学部新設にも意欲的な鎌田総長

「有名私学でも医学部を持つのは現実的ではない。とにかくおカネがかかる」(法政大学の田中優子総長)というのが実情だ。通常、1人の医師を育てるのに1億円がかかるといわれる。しかし、国公立大学の6年間の学費は400万円にも満たない。私学とはいえ、1億円の額を学費に反映させたら、優秀な学生は来ない。

ただ、「医学部を持たないと、海外ではユニバーシティ(総合大学)と認められない。研究実績が限定され、世界大学ランキングも上昇しない」と鎌田総長。大学のグローバル化を進める上でも、医学部が存在しないことは大きな泣きどころだ。経営の厳しい私立の医科大学も少なくない。ゼロからの新設は難しくても、M&Aの道はまだ残っている。鎌田総長は「チャンスがあれば、トライしたい」と強調する。

学費は国公立並み 奨学金制度を充実

早稲田にはもう一つ大きな課題がある。「地方の優秀な学生がなかなか来てくれなくて」。鎌田総長はこう嘆く。かつて早稲田の学生の半数は地方出身者だった時期もあるが、今は約3割だ。東大や他の私大も同様な状況だが、一昔前まで早稲田は地方の高校生から人気があった。今は「地元の国公立大学志向が強くなっている」という。

鎌田総長は次々手を打った。「学費は国立大学並みに抑えられる。地方出身者の入学前予約型奨学金を充実させていて、首都圏以外の出身者であれば、国公立大学とほぼ同水準の学費になる制度をつくった」。例えば政治経済学部の場合、授業料は約120万円。奨学金の対象者となれば、前期の授業料分約60万円が4年にわたって免除となる。毎年350人弱の地方出身の学生がこの奨学金の対象となっている。

地方での提携校も拡充した。系属校という形で、2009年度に大阪府内に早稲田摂陵中学校・高等学校を、10年度には大隈重信の出身地の佐賀県内に早稲田佐賀中学校・高等学校を開学した。

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