早稲田に医学部は? マンモス私大に2つの課題
早稲田大学の鎌田薫総長に聞く
外国人学生数は国内トップ

ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長も早稲田大学の出身
中国語や韓国語などアジアの言語も自然に飛び交う。中国人留学生に聞くと、「早稲田は中国では有名です。慶応や東大よりも知られている。孫文など昔の革命運動家もここに来ていたし、今はアジアの学生を積極的に受け入れているからです」という。外国人の学生数は実に約7200人と国内の大学では最も多い。その半数は中国人の学生だが、残りの学生の出身国・地域は110以上に及ぶ。シンガポールには早稲田渋谷シンガポール校という名称の系属高校がある。慶応がニューヨークに付属高校を持つのとは対照的だ。
「欧米からの留学生も少なくはない。7つの学部で英語だけで卒業できるようにした」と鎌田総長は話す。一方で、日本人の学生も国際教養学部中心に毎年4千人以上が海外留学に出る。バンカラの早稲田に女子学生、そして外国人学生が増え、急速にダイバーシティ化が進んでいる。
早稲田の入試システムも様変わりしている。一般入試と推薦・AOの入試の比率は、現在は6:4。鎌田総長は「今後は4:6にする考えです。これも画一的な人材ばかりにしないため。推薦やAO入試の学生の方が成績もいいですね」という。少子化の中、人材の質を担保するため、2012年時点で約4万4千人だった学部生を、創立150周年を迎える32年には3万5千人にまで絞る計画。一般入試枠が狭くなり、難易度は上昇中だ。
柳井さんのような起業家を
今後、早稲田はどんな人材を世に出したいのか。「アジアのリーダー、イノベーターになる人材を輩出したい。卒業生の(ソニー創業者の)井深大さんや(ファーストリテイリング会長兼社長の)柳井正さん、(史上最年少で上場を果たしたリブセンス社長の)村上太一さんのような起業家がイメージですね」と鎌田総長は語る。
全国から男子学生が集まり、方言が飛び交う「バンカラ大学」だった早稲田。今はアジアをベースとしたグローバル総合大学を志向する。医学部設置など課題も少なくないが、外国人学生や女子学生は増加して、その色彩は一段と多様化しようとしている。
(代慶達也)