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 今、東京都新宿区にある早稲田のキャンパスは以前と違い、華やかな雰囲気に包まれている。出会う学生の3人に1人は女子学生、そして外国人学生が多い。女子学生の割合は、政治経済学部、法学部、商学部ではいずれも3割超、文学部、文化構想学部は6割に近い。理工系も約2割が女子学生だ。女子学生の数を合わせると、日本女子大学や東京女子大学、津田塾大学など東京を代表する女子大学よりも多くなるのだ。

外国人学生数は国内トップ

ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長も早稲田大学の出身

ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長も早稲田大学の出身

中国語や韓国語などアジアの言語も自然に飛び交う。中国人留学生に聞くと、「早稲田は中国では有名です。慶応や東大よりも知られている。孫文など昔の革命運動家もここに来ていたし、今はアジアの学生を積極的に受け入れているからです」という。外国人の学生数は実に約7200人と国内の大学では最も多い。その半数は中国人の学生だが、残りの学生の出身国・地域は110以上に及ぶ。シンガポールには早稲田渋谷シンガポール校という名称の系属高校がある。慶応がニューヨークに付属高校を持つのとは対照的だ。

「欧米からの留学生も少なくはない。7つの学部で英語だけで卒業できるようにした」と鎌田総長は話す。一方で、日本人の学生も国際教養学部中心に毎年4千人以上が海外留学に出る。バンカラの早稲田に女子学生、そして外国人学生が増え、急速にダイバーシティ化が進んでいる。

早稲田の入試システムも様変わりしている。一般入試と推薦・AOの入試の比率は、現在は6:4。鎌田総長は「今後は4:6にする考えです。これも画一的な人材ばかりにしないため。推薦やAO入試の学生の方が成績もいいですね」という。少子化の中、人材の質を担保するため、2012年時点で約4万4千人だった学部生を、創立150周年を迎える32年には3万5千人にまで絞る計画。一般入試枠が狭くなり、難易度は上昇中だ。

柳井さんのような起業家を

今後、早稲田はどんな人材を世に出したいのか。「アジアのリーダー、イノベーターになる人材を輩出したい。卒業生の(ソニー創業者の)井深大さんや(ファーストリテイリング会長兼社長の)柳井正さん、(史上最年少で上場を果たしたリブセンス社長の)村上太一さんのような起業家がイメージですね」と鎌田総長は語る。

全国から男子学生が集まり、方言が飛び交う「バンカラ大学」だった早稲田。今はアジアをベースとしたグローバル総合大学を志向する。医学部設置など課題も少なくないが、外国人学生や女子学生は増加して、その色彩は一段と多様化しようとしている。

(代慶達也)

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