変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

かつては起業するためにそれなりの資金力が必要だったが、VCやエンジェル投資家が増えた昨今では、資金面でのハードルはそれほど高くない。それよりも必要なのは「若さだ」と、木下さんは強調する。

成功している起業家は20歳代で起業

「僕は投資条件の1つに、創業時の年齢が25歳以下であることを掲げています。ソフトバンクの孫正義さんも、サイバーエージェントの藤田晋さんも、大きく成功している起業家はみんな20歳代で起業している。メルカリ社長の山田進太郎さんも最初の起業は20歳代です。起業のタイミングが早いことは成功するための重要条件の1つなんです」

若い人に投資をするのは「めちゃくちゃ楽しい」とも言う。「シリコンバレーなどの海外の投資家と話をしても、日本では投資家と起業家のすみ分けがまだそれほど明確ではなく、未上場の会社に投資をすれば、自分も仲間として伴走できる。それが一番の醍醐味でもありますし、日本をベースにVCをやっていこうと思った最大の理由です」

投資する2つめの条件は、本人にプログラミング能力があることだ。これは、インターネットのトレンドがわかっているかどうかのバロメーターになる。

東京・渋谷で運営する、スタートアップ向けコワーキングスペースには若き起業家が集う

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 「と言っても、最先端の難しい技術を知っている必要はないんです。要素技術の開発で成功できるのはせいぜい100社に1社。若い起業家は同世代が欲しくなるようなサービスで勝負すればいい。AI(人工知能)、ブロックチェーン、ドローンなど、インターネットやインスタグラムでバズる(ネット上ではやる)分野は間違いなく伸びますから」

ツイッターで自分を表現すべし

起業と聞くと、ついグーグルやアマゾン・ドットコム、フェイスブックなどの巨人を思い浮かべてしまうが、木下さんが思い浮かべる世界はそれとは少し違っている。

「製造業の世界でいうと、日本はトヨタなどの最終製品メーカーばかりではなく、そこに部品を供給する無数のメーカーが存在していて、そのレベルも高い。実はこれと同じことが今、インターネットの世界でも起きている。(グルメサイトの)食べログ、LINE(ライン)などのアプリケーションレイヤーが強いのは日本の特徴であり、おもしろさなんじゃないでしょうか」

成功したい若手起業家に、木下さんは「ツイッターをやれ」とアドバイスしている。「プレスリリースを流さない企業に取材が入らないのと同じで、ツイッターをやっているというのはそれだけ発信力が高く、やる気があることの証明になる」からだ。

ツイートにはある程度、その人の価値観や考えも表れる。考えが伝われば、周囲を巻き込める可能性も高まる。「社長として必要な資質をウオッチするには、いいツールなんです」とも言う。

木下さんが自身のツイッター経由で人材を募集し、投資先の企業に紹介することもある。30歳以上で起業したある社長は「人を紹介してもらえませんか」と言いながら、木下さんがツイッターをすすめても、自分がツイッターで日々発信することをためらった。起業家として成功するには、このノリの悪さがネックになるという。

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