起業するなら20歳代で ベンチャー投資家の助言
スカイランドベンチャーズ代表パートナー・木下慶彦さん
「30歳以上で起業した人は、どうしても新しいものに対してのノリが悪くなる。なかなかそれに対応できない人も多い」と手厳しい。
梁山泊でもまれる10歳代の起業家たち
ハイブシブヤを訪れる起業家にはU20(20歳以下)の起業家も増えてきた。さながら若手起業家たちの梁山泊(りょうざんぱく)で、ここでもまれて羽ばたけるかどうかが、将来に向かう第一歩になる。

20歳代の起業家には小中学校のうちから事業を志した人も珍しくない
アプリ開発会社「サーバンス」を起業した山田耕太郎さんは1998年生まれの19歳。米国の大学に行く予定だったが、健康上の理由で渡航を断念し、その後起業した。現在はスカイランドベンチャーズから出資を受けて、5人の仲間とヘルスケアアプリを開発している。
「起業家になろうと思ったのは中学2年生の時。同じ年で起業した子がいて、その子に影響を受けました。ゼロから価値を生み出し、顧客にその価値を届けることに憧れを持っていました」(山田さん)
「起業しようと思ったのは小学生の時です」と語るのは、「アンディファインド」CEOの若月佑樹さん。山田さんと同じ19歳で、「スティーブ・ジョブズ(米アップルの創業者)やフェルディナント・ポルシェ(ドイツの自動車設計者)に憧れ、起業家になろうと思った」
一度は米国の大学に入学したものの、「コスパ(コストパフォーマンス)が悪い」と、3日で退学した。帰国して友人2人と起業。匿名でチャットができるアプリを開発中で、すでに4000万円近くの投資を受けている。「起業家はいい意味で飽きっぽい人たちだ」とも言う。
起業家はリスクにおじけない
木下さんは肩書だけの「社長」と「起業家」の違いを、「リスクマネーを受けているかどうか」だと説明する。「起業家」からもう一段上の「経営者」のステージに上がるには、高い視座を持つことも必要だが、「それは後からついてくることもある。あまり気にしなくていい」
若いということは、それだけ多くの失敗ができるということでもある。会社を東証マザーズに上場させたあるベンチャー経営者が以前、「起業のリスクを語りたがるのはたいてい起業したことのない人たちだ」と言っていたのを思い出す。我が子に苦労をさせたくない親世代は、とかくリスクを強調しがちだが、今回出会った起業家たちは総じてリスクに過剰なおじけを感じてはいないようだった。
(ライター 曲沼美恵)