1ドル札が降ってくる!? 単数と複数で意味は大違い
デイビッド・セイン「間違えやすい英語」(12)fall

言葉の使い方を間違えて相手に誤解されてしまった。そんな体験はどなたにもあると思います。日本人向けの英語教育で豊富な経験を持つデイビッド・セインさんが、日本人が間違えやすい英語の使い方を解説します。今回は、単数形と複数形で意味が異なるケースを取り上げます。合わせてfall の使い方を学んでいきましょう。
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勉強するときはいつも完全を目指す。しかし会話をするときは通じることを目指す。これが英会話には必要なポイントです。相手を前にして英語を話すときは、完璧な英語でなくても構いません。間違いがあってもいいのです。フレンドリーに笑顔で話せば、不完全さは補われます。間違いを恐れず英語を話しましょう。そして勉強するときは完全を目指しましょう。
ナンシーとヒロシが話をしています。「価格は下がると思う?」というナンシーの問いかけにヒロシは「ドル(の価値)が下がっていますからね」と答えています。いつもは冷静なナンシーですが、なぜか「本当?」と驚きを隠せない様子。次に戸惑うのはヒロシです。「僕のこと、からかっているの?」 現場ではいったい何が起きているのでしょうか。
それはこんな会話でした。
Hiroshi: Dollars are falling.
Nancy: Really? Where?! Let's catch some.
Hiroshi: Are you joking with me?
日本語に訳してみると、こうなります。
ひろし:ドルが落ちてきていますよ。
ナンシー:本当?どこ?拾いましょうよ。
ひろし:僕のこと、からかっているんですか?
Dollars are falling. と言われると、ネイティブの頭の中にはまるで映画のワンシーンのようにビルの高い窓からばらまかれたドル紙幣がパラパラと落ちてくる様子が浮かぶでしょう。fallには「落ちる」だけでなく「下落する」の意味もありますから、ヒロシの言葉選びはそれほど悪くなかったと言えます。問題はdollars という複数でした。
では、どう言えばよかったのでしょう?