常に食材新鮮 日曜休みだから絶好調な地場スーパー
経営コンサルタント 竹内謙礼(1)
お店を日曜休みにすることによって、お客さんはお店には常に新鮮な食材が並んでいることを認識するようになり、平日でも店内は賑わいを見せる。特に休み前の土曜日になると、商品を売り切るタイムセールを積極的に展開するので、たくさんのお客さんが集まり、売り場はさながらお祭りのような活気を見せる。
売上も好調だ。豊田市浄水町の「えぷろん生鮮館」は、オープン3年目まで毎年約10%ずつ売上を伸ばし続け、今も安定した売上を確保している。
「日曜が休みの店舗スタッフは、営業日にしっかり売らなければいけないという意識を強く持っています」
河合社長は、日曜休みというコンセプトがスタッフに心地よい緊張感を生み出し、売上にも良い影響を与えていると話す。また、従業員やパートさんから、日曜が定休日になることで家族と過ごす時間がしっかり取れるのがうれしいという声も耳にするという。
「現在は新しく開店した元宮店の1店舗だけを年中無休にしたので、採用の際に『日曜休み』を声高に言うことはありません。それでも離職者はこの1年で3名ほどしか出していません。同業他社に比べれば離職率はかなり低いほうだと思います」
日曜休みという従業員を大切にする社風が根付いているからこそ、従業員にとって居心地の良い会社になっている。
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この事例は「日曜日に休んだら売上が落ちる」という呪縛から解放されたことが、良い労働環境を生み出すことにつながった好例といえる。もし、営業日の減少が集客数や売上縮小につながるのならば、365日休みなしに働かなければならなくなる。突き詰めれば24時間お店を開けなければならなくなってしまう。
しかし、少子高齢化と働き方改革の社会情勢を考えれば、こうした長時間営業の店舗運営は不可能になる。そう考えると、健全な経営を目指すのであれば、「日曜休み」という経営判断は正しい。それにいち早く気づいていたえぷろんフーズは、働く人にやさしいスーパーという業界でのポジションを早々に築き、離職率の低い職場作りに成功したのである。