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――直観力は頭ではなく身体で学べと?

「僕が長年やってきたフィールドワークでは、その場で『あっ』と思ったことを、忘れないようにフィールドノートに書きつけていきます。僕はいまの学生にとって、自分の身体で体験し、感じたことをどんな言葉でもいいから手を動かして書くということが、非常に大事だと考えています。IT(情報技術)が当たり前の時代に育ったいまの若者は、知識は人から人へ伝達されるものではないと思っている。欲しい情報はインターネットで検索すればすべて手に入るじゃないかと。でも知識というのは、人から人へ、あるいは本から人へ、時には暴力的な形で、身体の中に飛び込んでくるものなのです。経験しないと身体化はできない。それこそが直観力です」

リーダーに必須の直観力は、頭の中では磨けない

今年の入学式では詩や俳句を引きながら、新入生に語りかけた=京都大学提供

今年の入学式では詩や俳句を引きながら、新入生に語りかけた=京都大学提供

「同じ時に同じ対象を見ても、人によって感じ方はそれぞれです。それは人間が身体を持っているからなんですね。人間のクリエイティビティーは、そういう個別の経験が積み重なり、直観力が鍛えられてはじめて生まれてくるものです。人と交渉をする上でも、新しいことに立ち向かう上でも、他の人とは違う自分だけのオリジナルの知識を持っているかどうかが問われます」

――リーダーを目指すにも直観力が必要だと?

「まさにそうです。リーダーは常に新しいものに立ち向かい、挑戦していかなければならない。その時に必要なのは、自分の身体によって蓄えられた、あるいは自分の身体から誘発された知識です。しかも、それは人に感動を与えるものでなくてはならない。そうでなければ人はついてきてくれませんから。僕はリーダーの条件の一つは『他者を感動させる能力』だと思っています。感動を与えるのに必要なのは意外性です。それが何であるかを瞬時に見抜き、行動できるかどうかは、直観力にかかっています」

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