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いき過ぎとも思えるへりくだりは、ちょっとした言い回しを上から目線と批判されかねない現状の反映でしょう。著者は、こうした傾向は特に若い世代の間で強まっていると分析します。嫌われることを恐れ、子どもを叱らない親や先生、部下に厳しくしない先輩や上司が増殖する社会で育った若い世代は、経験豊かな人の教えといった「正しい上から目線」を認識する力に欠け、上からというだけで反発するのだといいます。

自信のなさが反発を生む?

客という「上の立場」を利用して、ささいなことで店員や駅員を怒鳴りつけたり、乱暴な口調で説教したりといった、ゆがんだ上から目線は見苦しいものです。単に威張り散らし、横柄な態度で自分の優位を確認しているとしか思えない上司の説教には、反発するのも当然でしょう。ただ、親切心から出た経験者のアドバイスまで拒否したくなる心理は、どうして生まれるのでしょう。

著者は「相手の親切心よりも、相手が優位に立ってものを言ってくるという解釈に重きを置いてしまう受け手が増えたのが原因だ。承認欲求が満たされず、自信のない人が日本中に溢(あふ)れたことで生まれたのではないか」と分析します。

 勉強や仕事で成果を出すことができず、人間関係もうまくいかないなど、承認欲求をなかなか満たすことができないとき、承認欲求が脅かされ、傷つきやすい心理状態がつくられる。ちょっとしたことで、「自分はダメだ」と落ち込んだり、「見下された」と感じる。(中略)
 仕事上のミスや態度をちょっと注意されたくらいで逆ギレするケースでも、承認欲求の深い挫折感がその背後にあるとみて間違いないだろう。
(第1章 なぜ「上から目線」が気になるのか 43~44ページ)

他者から認められて自信を持つという経験が少ない人は、他者を受け入れにくくなりがちです。実際には相手がネガティブな視線を向けていなかったとしても、見下されたと被害者意識に満ちた解釈をしてしまうのだといいます。

若い世代の間には、上から目線に反発する一方で「上からの思いやり」を求める心情もあるといいます。「やっぱりほめてもらえないとやる気がなくなる」というのです。こうした中途半端な甘えが、さまざまな人間関係をねじれさせる一因になっているようです。

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