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子連れ可能なシェアオフィスというユニークなビジネスモデルは、高田社長のキャリアと子育ての葛藤から生まれた。不動産会社で営業の最前線を経験し、30代で管理職を任された、いわゆる「バリキャリ」だった。しかし不動産業界は男性中心の社会で、残業や休日出勤も多い。「出世したいという気持ちは強い方だったかもしれない」という気持ちとは裏腹に、待ち受けていたのは女性の昇進を妨げる「ガラスの天井」。そして、保育園と小学校の環境の違いや学童保育の時間の短さから親が働き方を変えざるを得なくなる「小1の壁」だった。

ガラスの天井、小1の壁で起業を決意

保育士が見守る安心な環境で子供を預けられる

保育士が見守る安心な環境で子供を預けられる

「子育て中だからしばらくはバックオフィスにいた方がいいんじゃないか」

「いつ育児終わるの?」

面談での上司の言葉にショックを受けた。販売などの前線の仕事に復帰するかどうかという話が浮上していたときだった。40歳までに人生の方向付けをしたいと思って努力してきた高田さんは怒りを通り越して脱力した。「やりたい仕事ができないのにこれ以上ここにいても……」。心が折れた。

一方、子育てでも壁にぶつかっていた。小1の息子が通う小学校の担任が家庭訪問に来たとき、「息子さん、疲れているみたいで学校で寝ています」と聞かされた。自身の帰りが遅くなることが多く、息子が寝ていたのはだいたい夜10時半、遅ければ11時だった。「今まで保育園だったのに、急に大勢の子に囲まれて、子供なりのストレスもあったんだと思います」と振り返る。子供の環境の変化に寄り添って配慮をしてあげられていない、自身の働き方に限界を感じていた。

面談から2カ月後、高田さんは会社に辞表を提出。「息子が小学校生活に慣れるまでは緩やかに自分のペースで仕事をしよう」。そして、以前から温めていたアイデアで起業することを決意する。

子供の感情が置き去りにされていないか?子供の近くで働く選択肢

そのアイデアというのが保育施設併設シェアオフィス。今のマフィスだ。背景には会社員時代から感じていた問題意識があった。

「女性の活躍とか働き方を楽にするための解決策として保育園がどんどん長い時間運営されるようになりました。ベビーシッターも東京都なら割引クーポンがもらえたりします。ただ、そういう受け皿があるなら働けるよね、というのは単純過ぎないでしょうか。国も支援制度を拡充しようとしていますが、子供の感情が置き去りにされていませんか」

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