学び方自在、起業も カドカワの通信制「N高」の実力
N高等学校の奥平博一校長に聞く
そもそもN高設立の背景には、日本の将来を担う人材を育てるには、一人ひとりの個性や価値観にあわせた多様な学びの形、進路選択が必要ではないかという問題意識がある。また、幼いころからネットやパソコンに囲まれて育った、いわゆるデジタルネーティブ世代にとっては、「いつでもどこでも」というネットの利点を生かす学習方法の方が、大きな成果が見込めるのではという見立てもあった。これまでの画一的な教育システムへのアンチテーゼとしてスタートしたのが、N高なのだ。
「自立の武器」を身につける

本校で行われたスクーリングの様子=N高等学校提供
それだけにカリキュラムも個性的だ。単位制のため、自分のペースで勉強を進められ、自由時間も多い。その時間を将来の進路選択に役立てられるよう、N高では高校卒業資格取得のための必修授業とは別に、数多くの選択授業を提供している。
例えば、IT(情報技術)業界への就職を考える生徒向けの「プログラミング授業」や、使える英語や中国語を学ぶ「外国語授業」、エンタテインメント業界を目指す生徒向けの「エンタテインメント授業」や「文芸小説創作授業」などだ。企業や自治体、NPOの協力を得て実施する「就業体験授業」もある。N高の授業に頼らずに自分で何かに打ち込むこともできる。
奥平氏は「教育の目的は、社会で自立するための武器を身につけること。それには高校時代にいろいろな体験をしておくことが大切です」と実践教育の重要性を説く。同時に受験対策クラスも用意し、「大学受験にも力を入れています」(奥平氏)としている。
通学コースには、目玉ともいえる「プロジェクトN」という授業がある。生徒が自ら社会的課題を見つけ、解決策を考えて成果として発表するという課題発見解決型の授業で、高校では珍しい取り組みだ。チームで課題に向かうことで、チームビルディングやコミュニケーションのスキルも養えるという。
ニコニコ動画のエンジニアが直接指導
N高ならではの強みは、カドカワグループの人材や資金力、ブランド力を活用できる点だ。
例えば、プログラミングの授業ではカドカワ傘下のドワンゴで働くトップエンジニアが講師を務め、ニコニコ動画のようなサービスを構築する技術を教える。「プログラミングの授業のレベルは非常に高い」と奥平氏は胸を張る。