すべての仕事は10分で 元LINE森川氏の時間管理術
八重洲ブックセンター本店

上りエスカレーターを2階で降りた正面に特設ワゴンを設置して陳列する(八重洲ブックセンター本店)
ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測している八重洲ブックセンター本店だ。ベストセラーの上位はめまぐるしく入れ替わっているが、店頭での売れ行きとなると、今年前半の売れ筋本がそのまま好調を維持している。そんな中、書店員が注目するのは、5月下旬の発売以来安定して売れ続けている元LINEの最高経営責任者(CEO)による、スピード仕事術の本だった。
自ら突き詰めた仕事術を公開
その本は森川亮『すべての仕事は10分で終わる』(SBクリエイティブ)。森川氏はLINEの元CEOとして名高い。今は若い女性向けのウェブ動画メディア、C channelを興し、社長として事業を指揮する。そんな仕事師が30代までのサラリーマン時代から積み上げ、突き詰めた仕事術を体系的にまとめ上げた本だ。「個人の職務スキル、そして企業価値として私が一貫してこだわっているのは『スピード感』です」と言うだけあって、「自分の生産性を上げる方法をいろいろ模索されている方にとっては、ヒントになる要素を詰め込めた」と自負する一冊だ。
考え方はタイトルに集約されているように「仕事は10分」ということだ。どんな仕事もこの区切りを意識して仕事する。大きめの仕事でも10分くらいで終わるサイズに分け、TODOとして考えるという。この単位が仕事にスピード感を生み出す。例えば、プレゼン資料を作るという仕事は、プレゼンの構成を作る(10分)、必要なデータを用意する(10分)、各ページにキーワードと必要なデータをはる(10分)といった形に分解される。
ジョブとタスクに分ける
そうした分解能を支えるのは、ジョブとタスクを分けて考えるという発想。ジョブは頭を使わないといけない仕事、タスクは頭を使わずにできる仕事で、タスクは10分単位で小分けして隙間時間などを利用しながらこなす一方、ジョブの方は早朝や深夜、週末などにたっぷり時間をかけて深掘りや思考のストレッチに励むという。