世界から集う生徒に育む変革の志 全寮制校ISAKの力
全寮制私立高校、UWC ISAKジャパンの小林りん代表理事に聞く
小林氏もUWCの出身だ。都内にある国立の高校を1年で中退し、カナダのUWCに編入学。卒業後は一般入試で東京大学に入り、外資系金融機関、国際協力銀行を経て、米スタンフォード大学大学院で国際教育政策学の修士号を取得。その後、国連児童基金のプログラムオフィサーとしてフィリピンのストリートチルドレンの教育問題にかかわり、帰国後にISAKの設立に動いた。
リーダーの育成を重視

豊かな緑に囲まれたユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパンの校舎
UWCは世界共通のミッションとして、「教育を通じて、人々や国や文化を結び、平和と持続可能な未来に貢献する」ことを掲げる。それとは別に加盟校独自のミッションもある。日本のUWCのそれは、「アジア太平洋地域そしてグローバル社会のために、新たなフロンティアを創出し、変革を起こせるチェンジメーカーを育てる」ことだ。
チェンジメーカーはそのまま訳せば「変化を起こす人」だが、同校のホームページの英語版では「transformational leader」という表現になっている。直訳すれば「変革をもたらすリーダー」。小林氏は「チェンジメーカーという表現のほうが日本人に理解されやすいから」と説明する。つまり、同校のミッションは、将来を担うリーダーの育成にあるのだ。
そのための授業も3年間、みっちりある。1年ではまず、自分と向き合う方法を座学で学ぶ。「自分は何をしたいのか、何に情熱を感じるのか、何が得意なのか、と絶えず自分に問いかけ続けることが、リーダーとして非常に重要」(小林氏)だからだ。毎週、地元のコミュニティーで奉仕活動をするなど実践面も重視している。上級生になるとチームを組んで社会的課題を解決するプロジェクトを立ち上げるなど、より実践面を重視した内容に移行する。
ここでカギをにぎるのが、生徒の国籍などの多様性だ。小林氏は「世界をみれば、自分の当たり前は相手の当たり前ではない。そんな人々が一緒に仕事をし、生活するのが当然の時代です。考えや価値観の違う人を排除するのでなく、受け入れることで初めて新しい発想やイノベーションが生まれる。ここは、そのための訓練にはもってこいの環境です」と強調する。