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仕事を教えるということが最終的に任せておける状態にすることであるとするなら、手順よりも先に仕事の価値を提供する相手と目的を示すことが重要なのです。

イラッときてしまうから「自分でやった方が早い」

実はこのような考え方は、状況適応型のリーダーシップとして、ハーシー・ブランチャード論として提唱されているものです。

人は誰かにモノを教える時まず、細かく直接教える方法を選択します。そのこと自体はもちろん正しいのですが、その次のステップに移行することができなければいけないのです。それは間接的な支援をすることです。

ある程度手順を直接教えたら、ためしに自分でやらせてみることが次のステップです。そしてその時点でうまくできなかったとしても怒らずに、助言とともに再度細かく教えるプロセスが重要なのです。

しかし多くの人は、やらせてみてうまくいかなかった時点でイラッとしてしまいます。そして何度もご紹介している「自分でやった方が早い」という思いを強めてしまうわけです。

任せてダメでも淡々と教えなおす

イラッとしてしまうことに対して私たちはどのように対応すればよいのでしょう。

答は簡単です。イラッとしてしまい、さらに「自分でやった方が早い」と思ってしまってもいいのです。ただそのことを表に出しさえしなければ。

そうして淡々と再度教え直せばいい。ただしそこで教えるのは手順ではありません。仕事の相手や価値、そして目的について教え直すのです。

怒りを感じることは人としてあたりまえのことです。部下に対する期待度が高ければ高いほど、失望も大きくなるでしょう。期待と失望のギャップとが怒りになることも多いのです。

ただ、怒りを相手にぶつけてよいかどうかは別問題です。沸き起こった怒りをなんとか表面に出さず、仕事についてのみ淡々と教え直す。そのような対応ができるようになれば、やがて細かい指導は不要になってゆきます。そしてその先に「これやっといて」という、任せておけるレベルへの成長が待っているのです。

それは出世への重要な要素に他なりません。

平康慶浩
 セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント。1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年から現職。大企業から中小企業まで130社以上の人事評価制度改革に携わる。高度人材養成機構理事リーダーシップ開発センター長。

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