変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

「いまやスマホでできない仕事はほとんどありません。文書入力も、フリック入力を使えば断然速い。長文も書けます。現在、スマホではできないのは、原稿のやりとりで編集履歴を残すことと、ビジネス系のオンラインバンキングぐらいでしょうか」

――そんな働き方は本田さんだからできるので、ふつうのサラリーマンには無理なのでは。

自由な働き方を選べる会社は、探せばあるはず

自由な働き方を選べる会社は、探せばあるはず

「そういう感想や意見が、僕の著書への批評という形で、ネット上にあふれています。でも、サラリーマンでも自由な働き方をするのは全然不可能ではありません」

「13年に『あたらしい働き方』という本を出しました。先進的な働き方を導入している日米の20社ほどを取材し、まとめたものです。取材してみて、実は日本にも、社員に自由な働き方を認めている企業はたくさんあると分かりました。今では、もっと増えているはずです」

自由な働き方、できる会社を探そう

「でも、みんな会社を選ぶときに社名や給与ばかり気にしますよね。その会社がどんな働き方を提供しているかには、ほとんど目を向けません。制度を上手に使えば、フリーランスより安定して自由に働ける会社はたくさんあります。最初から無理だと諦めず、そうした会社を探す努力をすべきではないでしょうか。どうしたら自分のやりたいことが実現できるのかをクリエーティブに考えて生きないと、とても損をしてしまうと思います」

――大学でも教えています。若い人たちにどんな話をするのですか。

「現在は母校の明治大学と上智大学で教えています。明治は起業したい学生向けです。いずれも、いろいろな働き方の選択肢を情報として提供し、自分にあった働き方や生き方を学生一人ひとりに考えてもらうことに重点を置いています」

「学生には『全員が全員、自由な働き方を目指す必要はない』と、よく話しています。人には向き不向きがあります。僕のように自由な働き方が向いている人もいれば、セルフマネジメントが苦手で、自由を与えられてもなかなか成果が出せない人もいます。自分に合わない働き方を強いられたら不幸です。『社会全体でもっと自由な働き方を目指すべきだ』というような今の日本の雰囲気や論調には、やや違和感を覚えます」

――自由な働き方には、何が大切ですか。

「ITの進化のおかげで、昔は組織に頼らなければできなかったことが、個人でも簡単にできるようになりました。秘書の代わりに、スマホがスケジュール管理や出張の予約をしてくれます。翻訳もスマホでオーケーです。自分にない技術や知識が必要なら、アウトソーシングやクラウドソーシングを利用すればいい」

「ですから、自由な働き方をしたければ、ITリテラシーを高めることが一番重要です。ITの進化の速度はものすごい。iPhoneが発売されたのが07年です。それから約11年で、生き方、働き方は劇的に変化しました。おそらく今後10年で、さらに想像もつかない変化が起きるでしょう。だから、常に新しいテクノロジーを使いこなせるようにしないと、技術的にも考え方も時代から取り残されます。逆にテクノロジーを使いこなすことができれば、働き方の選択肢は自然と広がっていくと思います」

(ライター 猪瀬聖)

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