留学・寮生活は必須 長野県立大に流れるソニーの志
長野県立大学の安藤国威理事長に聞く

長野県立大学の安藤国威理事長。2000年から5年間、ソニーの社長を務めた
2018年4月に開校した長野県立大学(長野市)。少人数制、全員海外留学、1年間の寮生活の義務付けなど、ユニークな教育方針を掲げて注目を集めている。先頭に立って運営のかじ取りをするのは、ソニーの社長を務めた安藤国威理事長だ。開校の準備段階から深くかかわってきた安藤氏は「ソニースピリットで、今までにない公立大学を目指す」と抱負を語る。
短大から4年制へ、グローバル人材の輩出めざす
長野市の名刹、善光寺からさほど遠くない閑静な住宅街にある長野県立大のキャンパス。モダンなデザインのエントランスを入ると、ホールのような広い廊下、カジュアルなデザインのテーブルやイス、地元の木材を使った明るい色調の床や壁、全面ガラス張りの教室――。竣工間もない新校舎は、開放感にあふれていた。

校舎のエントランスはモダンな印象
校舎の中を安藤氏と歩いていると、すれ違う学生から、次々に「こんにちは」と声がかかる。小規模な大学らしいアットホームな雰囲気だ。
そうかと思えば、わき目も振らず、英語で話し合いながら廊下を歩く学生もいる。英語の試験に備えて練習しているのだという。「2年生になると全員、短期の海外留学を経験しなければなりません。だから、英語の学習にも自然と身が入りますよ」と安藤氏は笑顔で話す。
長野県立大は、1950年開学の長野県短期大学を改組して開校した。ビジネスリーダーの育成を目的としたグローバルマネジメント学部と、栄養学や幼児教育のプロを育成する健康発達学部からなり、定員は1学年240人だ。
目指すのは、地元の発展に貢献できるグローバルな視野を持ったリーダーの育成と、大学自体が地域にイノベーションを起こす核となることだ。早期に目標を達成する切り札として大学側が白羽の矢を立てたのが、ソニーのトップにまで上り詰め、社内での起業経験もある安藤氏だった。