人事評価は期末だけ その会社であなたは成長できるか
20代から考える出世戦略(40)
もちろん一部のベンチャーや、創造性の高い組織で、多くの裁量が一人一人に与えられている場合はあります。世の中には個人のアイデアや独創性が活きる組織があるのも事実です。しかしより多くの組織は、それぞれが決まった役割を果たすことで成果を出せるように設計されているのです。
組織における上司の役割とは、そうして設計された組織をうまく動かすことに他なりません。そして人事評価もそのためのツールなのです。
なのに、上司が部下に信頼されていない、という状況になってしまっているのなら、それはもはや組織として成果を出せなくなりつつある可能性すら暗示しています。
人事評価と査定はまったく異なる
そもそも人事評価とはどういう仕組みなのでしょう。
おそらく多くの方は、給与を決めるための査定、という理解をされていることだと思います。しかし人事評価とは「役割」や「期待」を示すためのツールです。先ほどの居酒屋の例で言えば、調理担当やフロア担当としての役割を定めることも人事評価の一部です。そして、定められた役割をうまく遂行できたかどうか。期待されていた成果を出すことができたかどうか、ということを期末に評価するわけですが、大事なことは「評価する時点」にはありません。
人事評価における重要なポイントは、期初そして期中にあります。
たとえば居酒屋に新しく雇われた調理担当がいるとします。人事評価が3カ月ごとに行われ、そのたびに昇給するかしないかが査定されます。
もしこの店の店長があまり優秀じゃないとしたら、新しい調理担当は次のように働くことになるでしょう。
(2)最初に任された仕事ができるようになったら、次の仕事を教わる(例:簡単な調理)
(3)さらに次の仕事を教わる(例:包丁を使った調理)
(4)出来栄えが悪いと叱られ、自分で改善するように促される
上記の流れで仕事を覚えながら、やがて査定時期を迎えます。店長は、調理現場の人の意見も聞きながら、仕事ぶりを確認し、〇△×の査定をつけることになるでしょう。
そうして査定を受けた調理担当は、〇の評価なら喜ぶでしょうが、△の評価なら首をかしげるでしょう。そしてもし×の評価がついたら?
「店長が全ての仕事ぶりを見ているわけでもないのに納得いかない」
「最初から結果ありきで評価されているんじゃないか」
「そもそも店長と気が合わないと思っていたんだ」