変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

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最初の方に記した不満とほぼ同じ不満が口にされることになります。

一方、店長側からすれば、会社に言われたとおりに査定をしただけなのに、部下に嫌われていくのでやる気も落ちてしまいます。

ではこの組織や店長のどこがまちがっているのでしょう。

上司の仕事は期初と期中がポイント

今回あげた例では、新しい調理担当を雇ったときの対応と、その後の日々の対応が十分ではありません。実際にどんどん店舗数を伸ばして拡大している某居酒屋チェーンの店長の行動は次のようなものです。

 (1)まず店舗のコンセプトをしっかりと教えて、疑問にも答える
 (2)配属場所では、3カ月間で到達してほしいゴール(技術や調理できる品など)を共有
 (3)毎週、現場の先輩に疑問点を確認する時間を設ける
 (4)進捗にあわせて前倒しで仕事を覚えるチャンスを与える⇒評価を高めるチャンス

上記の手順を踏まえて最終的に査定をすると、ほとんどの人が結果に納得します。仮に×の評価がついてしまったとしても、それは3カ月の間に改善できなかった自分自身の責任だと理解しているからです。

そしてこの手順で仕事を教えていくと、実際に×がつく場合というのは、職場に不適格で退職してもらわざるを得ない場合くらいになります。

査定が働いた実績に対して行うものであるとするなら、人事評価とは全員を役割や期待に沿った行動ができるように育てる仕組みに他ならないからです。最もよく人事評価を使いこなす店長は、すべての従業員をどんどん育てて、店の業績も上げ続ける人なのです。

上司がこのような行動をとることができれば、部下も上司に対する信頼度を下げることはありません。自分自身の成長を助け、活躍の場を与えてくれる大切な人こそが上司だからです。

期末になって、昇給や賞与に関係する査定だけを行うような上司しかいない状態だと、その組織では、成長や活躍の場が十分に保たれていない可能性があります。

あなたの会社では、上司の信頼度はどれくらいあるでしょう?

平康慶浩
 セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント。1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年から現職。大企業から中小企業まで130社以上の人事評価制度改革に携わる。高度人材養成機構理事リーダーシップ開発センター長。

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