変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

「アシミレーション(assimilation、相互理解)という仕組みも独特です。これは、ある人が組織の長になって3カ月から半年経つと必ずやるもので、当人には部屋から出ていってもらい、チームのメンバーたちがそのリーダーのいいところ、悪いところをとことん議論するんです。すべて出尽くしたところでリーダーを呼び戻し、直接本人にフィードバックします」

「しかもこれを定期的にやるのです。組織の長でもこのアシミレーションというプロセスによって、自分は何ができていて、何が足りないのかを自覚し、さらに成長していくことが求められます。そういうカルチャーだからこそ、人が育つのだと思います」

「範囲」を決めて任せて、コーチングで伸ばす

範囲を決めて、任せて育てる

範囲を決めて、任せて育てる

――浅井さん自身がアシミレーションで気づかされたことはありますか。

「あるチームでこんなことを言われました。『浅井さんは失敗を恐れるな、と言うけれど、あなた自身は周囲に完璧な姿ばかり見せている』と。私だって実際はたくさん失敗しているんです。でも確かにそれをあまり話してこなかった。精神的に小さなアップダウンだって当然あるんですが、それを表に出さないようにしてきました。でも言われてみれば、常に周囲に対してパーフェクトな自分を見せていると、チームは安心できませんよね。だから自分の弱みや失敗もちゃんとシェアしなくちゃいけないんだと反省しました」

――次世代のリーダーを育てるためには、どういうことを意識していますか。

「『最終的には私が責任を取るので、ここからここまでは自由にやって』という風に大まかな範囲を示した上で、どんどん任せます。ただ単に自由と言っても逆に何をやっていいかわからなくなってしまいます。途中でうまくいかなければ、対話をする。もっと工夫できる点があるとすれば何なのか、正しい質問を投げかければ本人が答えを見つけることができます。その繰り返しで人は成長します」

「ランチに若手を誘って、気さくにおしゃべりする中で、この先どういうプロジェクトをやりたいと思っているのか聞き、次の異動の際に積極的に橋渡しをするようにしています。特にGEのようなグローバルな会社の中で、日本人は自分の良さを伝えるのが得意ではない。だから率先して『Aさんにはこんな才能があって、このプロジェクトで活かせば本人や会社にこんなメリットがある』ということを幹部にアピールするようにしています」

「私は基本的におせっかいな性格なので、自分のチームでない人についてもそういうことをやってきました。先日もどうしてそこまであなたが出てくるのと言われましたが、別に私はそこで便宜を図って、不適格な人を無理やりどこかに押し込みたいわけじゃないんです。ただフェアに評価してほしい。それに、人が育っていかないと、組織の新陳代謝が進みませんから」

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