SNSで響いた開発ストーリー 地方酒店がヒット連発
経営コンサルタント 竹内謙礼(7)
このように、小さな会社のオリジナル商品開発は、商品だけで差別化を図るのではなく、製造過程のストーリーの違いを訴えるべきである。小さな会社が苦労して新商品を開発する物語には人を魅了するものがある。
そしてオリジナル商品のストーリーを差別化するのであれば、「コンセプトの面白さ」を意識して作るといい。ユニークな商品のほうが、続きのストーリーが気になるし、ファンも作りやすい。ネットでも情報が拡散されやすくなり、ビジュアル的にも面白い写真や動画を撮りやすくなる。
「こんな商品、作れるわけがないだろう」「こんなバカバカしいことやってどうするんだ」ぐらいの、少々非常識なコンセプトのほうが人を魅了しやすい。
ただし、商品完成までのストーリーを公開する場合は、ストーリーを見てくれるお客さんの数が重要である。フォロー数がほとんどないSNSや、読者数の限られたDMで、いくらオリジナル商品の開発ストーリーを展開しても、情報の拡散先が少ないために、売上には反映されにくい。
お客さんを増やすためには、ユニークなストーリーも必要だ。ファン数が増えるのを待っていたらいつまで経ってもオリジナル商品を作ることはできない。商品企画を考えるのが先なのか、ファンを集めるのが先なのか、悩むところではあるが、ここは優良顧客作りの初期投資だと覚悟して、コンテンツ作りと顧客作り双方の施策を同時に並行して行うのがベストといえる。
優れたコンテンツと顧客数の増加は両輪で回っていく。手を抜かずに両輪の回転数を上げていけば、企画も良質なものになり、顧客数も加速度的に増えていくだろう。「お客さんにオリジナル商品を売りたい」という熱い思いがあれば、ストーリーにも反映され、お客さんも増え、魅力的なオリジナル商品となっていくはずである。