稼ぐ力取り戻せ 目先の損益にこだわる「PL脳」脱却
八重洲ブックセンター本店
PL脳が時代にそぐわなくなっている経営環境とファイナンス思考の考え方を詳しく論述した後、ファイナンス思考を経営に生かした会社の戦略分析、逆にPL脳に侵され沈んでいった会社の分析にも多くの紙幅を割く。生かした企業の事例に外国企業はアマゾンのみ。リクルート、JT、関西ペイント、コニカミノルタ、日立製作所と日本企業が並び、変化の芽は日本にも生まれていることも示すが、ダイエー、シャープ、東芝などPL脳に侵されて沈んでいった事例を読むと脱「PL脳」が一筋縄ではいかない気もしてくる。
「少し難しいと感じる本だが、2カ月ベストテンから落ちずにコンスタントに売れている」と、ビジネス書を担当する本店マネジャーの川原敏治さん。版元も初回に大量出荷しないかわりに1カ月以上経ったタイミングで販促提案をしてくるなど、こまやかな販売戦略でロングセラー化を仕掛けている様子だ。
アマゾンめぐる本が上位に
それでは先週のベストセラーを見ておこう。5位までに企業が大口で購入した本などが並んだため、今回は10位までを表に掲げた。
店頭での売り上げでは実質1位となる6位には、著名経営者の成毛氏がアマゾンの戦略を分析した本が入った。8位はグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの4社の戦略を分析した話題の本。その間の7位に今回紹介した本が挟まる。今回の本もなぜ日本からアマゾンのようなスケールする企業が輩出されないのかという問いから書き起こしており、アマゾンへの関心がビジネス書の世界では大きなテーマになっているようだ。9位はセミナープロデューサーが伝え方を指南する一冊だ。
(水柿武志)