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確かにそういう場合があるのは事実です。しかし本気でそう思うのなら、個人の目標にまで落とし込まれる前に、経営層との会話をするとか、周囲を巻き込んで新たな方向性を示すとかの、具体的な取り組みができているはずです。それが自分の評価基準となる目標設定の時点で出てくる意見でしかないのなら、ただの言い訳にしか聞こえません。

目標管理制度は自分の評価基準としてよりはむしろ、自分自身が組織に貢献できることは何か、ということを理解するとともに、そもそも組織が何を目指しているのかを理解するのにとても有効なツールです。

ドラッカーはテイラーの経営管理手法に強く影響を受けたと言われますが、テイラーの科学的管理手法はフォードの工場で実践されました。しかしフォードは科学的管理手法を活用して工員の生産性は向上させたのですが、ある一点だけ、テイラーの考え方を導入しなかったと言われています。

それはマネジャーへの権限移譲です。

その点についての改善案を含むものが、ドラッカーが提唱した目標管理制度に他なりません。

つまり、自分自身がなすべき目標を経営からの権限移譲を含むものとして理解し、それをさらに部下たちに落とし込んでいくことが、目標管理制度の最適な使い方だと言えます。

そのように考えてみれば、期初に立てる目標に対して、「自分で立てる」べきか「落とし込まれる」べきか、ということは本質的な議論ではないことがわかります。

目標管理制度を、自分自身の業績評価のためのツール、ではなく、自分自身がマネジメント層に出世するためのツールだと理解することができれば、あなたはさらに高いキャリアを得ることができるようになるでしょう。

平康慶浩
 セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント。1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年から現職。大企業から中小企業まで130社以上の人事評価制度改革に携わる。高度人材養成機構理事リーダーシップ開発センター長。

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