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実際の受験では、親から、お金がないので私立には行かせないと言われていたため、一応国立大学も受験し、そのために塾にも通いました。しかし、結局、国立大学は落ちて、SFCに行くことになりました。

正直、SFCにはそれほど高い期待はしていませんでしたが、入って大正解でした。敷かれたレールの上を歩くだけでは満足できない自分と似たような学生が多く、刺激的でした。授業も非常に幅広い分野から自分の履修したい授業を選択できるので、視野がとても広がりました。私自身の興味範囲も徐々に変わって行き、結局、在学中にITベンチャーを経営し、ビジネスの世界に入りました。

卒業して1年後にフローレンスを立ち上げた。

ベンチャーの経営は非常に順調でしたが、お金をもうけることに対して徐々に違和感も抱き始めました。自分が本当にやりたいことは何だろうか。自問自答を繰り返すうち、事業を通じて社会問題を解決する社会起業家という存在を知りました。これだと思い、いろいろなリサーチや準備を経て、2004年、病児保育問題を解決するためのNPOを設立しました。

私たちが掲げる「指示命令をしない保育」「自分で考えさせる保育」とは、例えば、食事の時間の時に、「食べなさい」と指示命令するのではなく、まず「どうしたいの」と聞き、子どもが自分から「食べたい」と言ったら食べさせる、「食べたくない」と言ったら、子どもの意思を尊重し、「じゃあどうしようか」と子どもがしたいことを聞き出す。こういうことを繰り返すことによって、子どもは自分で考えるようになり、小さいころから自分の意見をはっきり述べたり、議論したりすることができるようになります。

今、大学を含めて日本の教育全体が、従来の詰め込み型から、自分で考え自分で意思決定していくアクティブラーニング型に変わりつつありますが、保育も同じように変わっていかなければいけないと考えています。そうやって、みんなで日本の未来をつくっていく。それが私たちの目指すゴールです。

考えてみれば、私自身も、市川中学高校時代に、指示命令、管理されることの窮屈さや、逆に自分で考え、行動する楽しさ、大切さをさんざん経験してきました。そうした貴重な経験が今の活動につながっているのだと思います。

(ライター 猪瀬聖)

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