「誰が言ったか」が大事な時代 出世と肩書は役に立つ
20代から考える出世戦略(43)

写真はイメージ=PIXTA
COMEMO(日経)やNewspicks(ユーザベース)のように、ニュースに対してコメントを示せるサービスが増えつつあります。以前からあるYahoo!ニュースへのコメントや、はてなブックマークなどとの違いは、誰の意見なのかがわかる点です。このような流れは、私たちがキャリアを構築する方向性をあらわしてもいます。
「良い意見」なだけでは意味がない
新橋や八重洲といったビジネス街にはたいてい、オジサンたちが熱く語り合っている居酒屋があります。そこでは会社のビジョンや事業戦略についての論争もあれば、上司のリーダーシップ、新人のマナーなどについての苦言なども話題にのぼります。そうしてたまには良い意見も出てくるのですが、たいていはビールの泡と一緒に消えてしまいます。
もしそこで出てきた意見が本当に良いモノであれば、その場でメモを取るなどして、翌日あらためてシラフで議論してもよいでしょう。
しかしそうなることはほとんどありません。
もちろん酒の場で出た話だから、ということも大きな理由です。
いかに「良い意見」であったとしても、それが適切な場所で適切な人たちに向けて示されていなければ意味がないのです。
意見とは、対象を明確にして示すものです。万人を対象として示す意見は抽象的すぎることが大半です。抽象的だからこそ誰にでも刺さるような話もありますが、売上を伸ばし利益を増やしていくべきビジネスの場では、誰にでも刺さるような意見=たとえば教訓のような話はすぐに忘れられるでしょう。
だから会社の新しい事業戦略についての意見であれば、少なくとも経営層に対して示す必要があります。上司のリーダーシップについてであれば、人事部や、当の上司たちに対して示さなければいけません。そうでなくてはただの放言でしかないのです。
そして対象が明確にあるのなら、その対象に対して意見を示すべき場があるはずです。経営層に対してであれば、取締役会や経営会議。上司に対してであれば、上司を交えたミーティングの場などです。そういう場で示してこそ意見は意義を持ちます。