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カンボジアやフィリピンなどでの夏季体験学習も設けた。1週間のカンボジア体験学習では「キリング・フィールド」(ポル・ポト政権下のカンボジアで大量虐殺が行われた場所)などを見学し、平和について考える。「グローバルマインドのキーワードは『共生』だと思うんです。自分がよければいいというのではなく、『共に生きる』ということを考えてほしい」

今だからこそ女子校で学ぶ意味があるという

今だからこそ女子校で学ぶ意味があるという

海外に渡航できるのは高学年だけだが、校内でも難民問題に取り組む卒業生の講演があったり、交換留学生を初等科の学生が案内したり、低学年の頃から世界に目を向けるための教育を心がけている。

こうしたグローバル教育が奏功し、「最近では海外の大学に進学するケースが増え、生徒の進路選択が多様化してきています」。系列の聖心女子大学への進学は17年度で全体の半分ほど。外部の大学へ進む生徒が選ぶ学部は人文・教育系が最も多いが、医学、理工系、芸術系と多様だ。国際協力の分野で活躍する卒業生も多く、講演会の外部講師として招く機会も増えているという。

サードステージでは進路担当の教員が「まず生き方を考えなさい」と生徒に指導する。9~10年生(中3~高1)では適性検査や、卒業生の話を聞いて将来を考える機会を意図的に設けている。受験ありきではなく、なりたい自分から逆算してどういう学習をすべきかを生徒に問うわけだ。

「今だからこそ女子校の意味がある」

12年間、特殊な環境で育つ女子は世間的には「世間離れ」という印象があるかもしれない。しかし聖心が育てようとしているのは深窓のお嬢様ではない。むしろはっきりと主張できる女性だ。5~8年生でもパネルディスカッションなどの機会があるが、積極的に手を挙げて発言する光景は珍しくない。

「12年間も一緒に過ごすので人間関係は密接になり、変に気を使うことなく意見が言える環境です。世に出てからは女性として見られ、固定観念にさらされることもあるかもしれませんが、その前に自分らしさを発揮するということをここで経験すること、それが女子校の意味だと思うんです。卒業してから何かつらいことがあっても、流されたり、世の中こんなものかと諦めたりせず、大事だと思うことを大事だと言えるように」

大山校長が担当する宗教の授業では、「女性として生きるとはどういうことか」といったテーマで議論することがある。「次回は『#Me Too』(SNSでセクハラの被害体験などを告白すること)をテーマにしようと思っています」

「100年の伝統は大事」としつつも、大山校長は学校説明会で保護者に「学校は時代に合わせて変わっていくものです」と話す。タブレット端末やノートパソコンの貸与、電子黒板や無線LANの導入などIT(情報技術)化にも積極的だ。「21世紀の女子教育とはどうあるべきか、ずっと模索しています」

(安田亜紀代)

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