自信満々のミドルがはまる 転職で嫌われる3つの姿勢
経営者JP社長 井上和幸

応募者の心の中を面接官は簡単に見抜く。画像はイメージ=PIXTA
厚生労働省が発表した8月の有効求人倍率は1.63倍と、1974年1月(1.64倍)以来の高水準を維持しています。売り手市場の傾向が強まる中、ミドル世代の転職希望者には「自分はできる人材だ」「売れる人材だ」と自信満々の方も多く見受けられます。そうした方はすぐに希望する企業から声がかかり、大きな苦労もなく次の会社が決まると思われるかもしれません。ところが、自信満々のミドルこそが陥りやすい、応募先企業から嫌われる「3つの姿勢」があるのです。事例とともにご紹介しましょう。
過去の転職理由「ヘッドハント」に要注意
「別に辞める理由はなかったんですが」。コンサルティングファームからIT(情報技術)企業、ゲーム会社、消費財メーカーの経営企画部門をへて、4度目の転職をしようとしている38歳のAさんは、応募先企業の役員面接で過去の転職理由について質問されて、そう答えました。「スカウトがあって、条件が良かったので移りました」。
面接官の役員は続けて質問します。「なるほど。では今回はどのような理由で転職を考えているのですか」。Aさんはこれに答えて、「はい、Bエージェントから御社を紹介されたもので」。役員は「そうですか……」と一気にトーンダウンしてしまいました。面接官の心の声を聞いてみましょう。
「ほお、そうですか。それはすごいねえ。あなたは声がかかったらホイホイと会社を変えるのかな。であれば、うちで働いても同じなんだろうね。そんな人は当社ではいらないな」
この後、職務内容などの問答は続いたものの、実は面接開始早々のこのやり取りでAさんは「NG判断」確定となっていました。
そもそも、Bエージェントから案件を紹介されて面接を受けに来たということは、本人がエージェントや転職サイトに登録していた事実を物語っています。「結局、今回もこれまでの転職も、実は本人が職務に何か問題を抱えての話ではないか。スカウトとは登録先から案件紹介を受けただけのことではないか」。普通の面接者であれば、この程度の類推はすぐにします。