「2週間休みます」は工夫次第 上司も同僚も巻き込む
「まず2週間! 長期休暇取得を可能にする仕事の段取り術」 武者由布子氏

高知県の仁淀川でカヌーに挑戦する武者由布子氏。日常を離れてリフレッシュできるのが長期休暇の利点だ=同氏提供
働き方改革の一環で、2019年から企業は「社員に有給休暇を取得させる」よう義務づけられる。ただ、人が増えないなかで残業削減を進める動きもあり、10日を超えるような休暇をとりにくい会社も多いだろう。「まず2週間! 長期休暇取得を可能にする仕事の段取り術」(文芸社)を書いた社会保険労務士の武者由布子氏は、旅行や骨休め以外にも「自分磨きや転職の準備にも2週間程度の休みは有益」と強調する。長期休暇の考え方や取得のコツを聞いた。
休暇は権利、でも現実は…
有給休暇は労働基準法で認められた権利。後ろめたく感じる必要はないし、目的も自由だ。だが、現実には連続で10日や2週間といった休暇取得をためらう人も多いだろう。長期休暇を奨励する社風でもない限り、上司や同僚の反感、やっかみを招きかねないからだ。武者氏は、社労士として多くの企業に出入りした経験から「周囲への気兼ねが、長期休暇の最大のハードルになっている」とみる。
もし、会社も自分も長期休暇の「初心者」なら、自分磨きのためと決め、宣言してしまうのも手だ。「キャリアを育てるのに役立つような有休の使い方はいくらでもある」と武者氏は話す。たとえば、ファイナンシャルプランナー(FP)のような資格の取得や英語能力テストのTOEICに備える勉強などはキャリアアップにつながる。英会話のブラッシュアップにフィリピンへ短期留学するような選択肢もある。
日ごろは忙しさにかまけて、参加を見合わせていたセミナー・研修に参加し、新たなスキルや知見を得るのも有益だろう。こうした学び系の休暇プランなら、周囲の理解も得やすそうだ。
上司や同僚の理解を得やすい雰囲気をつくるには、普段からきちんと仕事をこなし、親しく話せる関係を築いておくのも大切だ。そうすれば「『休みを使って、めりはりを付けたい』という説明に理解を求めやすくなる」と武者氏。また、普段から「研修に参加したいが、なかなか日程が合わない」「英語を勉強し直したい」などと、長期休暇の希望をにおわせておけば、実際に申請したときに「そういえば、以前から聞いていた」と受け止めてもらえるだろう。