歌舞伎子役→教師・経営者に サレジオで描いた夢の道
石川聡彦・アイデミー社長が語る(下)

石川聡彦・アイデミー社長
サレジオ学院高等学部(横浜市)の在学中からビジネスを始めていたアイデミーの石川聡彦社長(25)。教師になりたかった石川氏は東京大学文科3類に進学するが、ビジネスの世界の魅力に引き込まれ、在学中に理系に転身。「エジソンよりも失敗したい」と宣言する持ち前の粘り強さで、次々と事業を展開。そして人工知能(AI)技術者の育成という"金の鉱脈"を見つけた。
サレジオ学院の高校時代に出会った物理の先生に理想の教師像を見いだした。
サレジオでは多くの先生が教科書的な通りいっぺんの授業ではなく、自己流の教え方を追求しているように感じました。それを特に感じたのが、物理・地学を教えている青山均先生です。
「物理は、他の塾に行かなくても完璧なくらい教えるから!」と授業でよく話されていたのが記憶に残っています。実際に同級生で、予備校や塾で物理と地学の授業をとっていた人は非常にレアでした。
「秘伝の物理」などの本も出版し、動画サイトのユーチューブに授業内容も公開しています。実際に非常にわかりやすい授業で、「生徒に理解させる」ということをしっかりと探究される姿勢は、教師を目指していた僕にとってまさに理想の教師像でした。
さらにすごいと感じたのは、青山先生は物理がもともとの専門でしたが、地学にも専門分野を広げて、さらに気象予報士の資格まで取っていました。教師として長い経験のある方でしたが、そこに甘んじず、さらに学び直す姿勢を尊敬していましたね。もともと国内トップの東京大学に入りたいと思っていましたが、一流の教師になろうと、進路は東京大学文科3類を選択しました。
高校時代に中古品売買を始め、お金を回していく仕事にも興味を持つようになった。
実家はお小遣い制ではなく、例えば「友達とボーリングに行きたいから2000円を下さい」と親に都度、申請するシステムでした。しかし親からは「うちは貧乏」とずっと言われていたので、自分からお金を要求することに抵抗がありました。家のパソコンには自由に触れていたので、中古品売買サイトなどを使ってお小遣いを稼ごうと考えました。
メモリースティック、漫画、ゲーム機など身近なものをひたすら売買していました。元々自分で持っていたのではなく、サイトで安く買って高く売る。高く売れる物を見つけながら、差益をお小遣いにしていた。稼いだのは年間10万円ぐらい。友達とカラオケに行きたい高校生としては十分です。
高く売れる商品を見つけるのは得意だったと思います。ネットの情報を見ながら、今はこのゲーム機が高く売れるんだとか、漫画はこういうプレミアムがついていたら高く売れるんだとか、ゲーム感覚でやっていました。今振り返っても、商売の本質というのは同じだなと思います。売れるところを見つけていく、それに尽きます。