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仕事を通じて自己実現を果たせれば理想的だが、誰もがその道を歩めているとは限らない。業種や職種、仕事の内容が自分の希望と異なる人も多いだろう。その点、自分本位を貫ける複業なら「本来の夢をかなえる選択肢になり得る。やらされ感から解き放たれるという意味からも複業のメリットは大きい。『やりたいことしかやらない』ことの心地よさは複業ならではのものだ」と三原氏は説く。

複業に興味はあっても、一歩を踏み出せない人は多そうだ。三原氏は「勇気の問題という気がする。複業の先輩の話を聞くのは、チャレンジする勇気をもらう機会になる」と、パラレルキャリア関連の講演会やセミナーへの参加を提案する。誰かの事業の手伝いから始める「セカンドクリエイター」というスタート法もおすすめで、三原氏自身もあこがれていた女優を手伝った経験があるという。

お金よりやりがい 小さく始める手も

三原氏は「大企業に勤める人ほど、複業を試しやすいはず」とみる。ある程度の安定的な収入があれば、複業で失敗しても生活の破綻は避けられそう。余裕があれば、複業選びで妥協しなくても済むだろう。それでも失敗のリスクが気になる人には「スモールスタート」がおすすめという。たとえば、イベントを開く場合も、5人限定といった小さい枠組みで始めれば、失敗のリスクも避けやすい。「失敗したなと感じたら、すぐに撤退や方向転換ができるのも、スモールスタートのいいところ」(三原氏)といえる。

シニア層の間では、アパート経営や金融商品などへの投資という形でサイドビジネスを始めるケースもあるが、これは「複業とは別物」(三原氏)。金銭的なリターンが最大の目的である投資と、夢の実現を見すえる複業とは、目指すところが違うというわけだ。「お金もうけを最優先にすると、長い目で見てうまくいかなくなることも多い。むしろ、ビジネスが後からついてくるような形で始めた人のほうが成功している」という。

「自分らしく働く パラレルキャリアのつくり方」では、複業を持つ人を大勢紹介している。これから複業を考える人に向け、「たくさんの選択肢を示したかった」(三原氏)。ビジネスでも、生きがいの面でも結果を出している人たちに、三原氏は「利他の精神」という共通点を見いだす。「まずはギブ、ギブ、ギブといった態度が信頼を生み、結果的にお金も連れてくる」という。「人生が豊かになるのが最大のリターンかもしれない」と言う三原氏はパラレルキャリアが日本の仕事風土を変える可能性を信じているようだった。

三原菜央
 広報・PRプランナー、講師。1984年岐阜県生まれ。大学卒業後、専門学校・大学の教員として8年間勤務した後、企業の広報やオウンドメディアの編集長を経て、2016年から兼業可能なリクルートライフスタイルで社外広報に。16年9月から「複業」をスタートした。

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