辞めるべきか、残るべきか 正しい退職時機の見極め方
ミドル世代専門転職コンサルタント 黒田真行

会社を辞めるタイミングの判断は難しい。写真はイメージ=PIXTA
就業中の状態で転職活動を開始された方々からの質問で特に多いのが、「いま退職するという判断が間違っていないだろうか?」というものです。とりわけ転職経験のないミドル層に集中しています。40歳を過ぎて初めての転職であれば、当然の不安といえるでしょう。
「会社を辞めるという判断が早すぎるのか? 妥当なのか?」。今回は、自分にとって適正な退職・転職の決断タイミングを、いくつかの事例から考えていきます。
退職前に転職先が決まっている人は37.8%
「転職活動」と一言でいっても、
(2)次の職場・仕事を探すフェーズ
(3)次の職場・仕事を決めるフェーズ
の3段階があり、人によって、また仕事環境によって、これら3つの作業が同時進行でできる場合とできない場合があります。特に40代以上のベテラン層になると、働き盛りで仕事が忙しいことや、慣れない転職活動で思うように集中できない、といったこともよくあります。
実際に転職を経験した方々はどうなっているのでしょうか。リクルートワークス研究所の「全国就業実態パネル調査2018」によると、退職を決めた時点で次の職場が決まっていた人は、正社員の場合で37.8%。逆に新天地が決まらないうちに退職した人は41.5%となっています。
退職決定と次の就職先が決まったタイミングが同時だったという人が12.3%、どちらか不明な人が8.4%いるので、退職時点で次の転職先が「決まっている」「決まっていない」の割合は、ほぼ半々といっていいでしょう。
年齢が上がれば上がるほど、転職先が見つけづらくなる構造を考えると、本来的には「次の転職先を見つけてから退職を決める」ほうが安全ではあります。しかし、時間の都合がつけられない、性格的に現職と同時進行では集中できない、早く転職しなければいけない事情がある、という場合には、「退職してから次の職場を探す」というのも、やむをえないケースはやはり出てきます。
40代で初めて退職を決意する瞬間
新卒入社から20年以上勤続し、愛社精神にあふれて活躍してきたベテラン社員は、いったいどんな時に退職を決意するのでしょうか。転職経験が少ない40代以上の事例をいくつかご紹介します。