転職採用に新潮流 2019年に人気集める人材は?
エグゼクティブ層中心の転職エージェント 森本千賀子

転職を考えるなら求人のトレンドをしっかりつかんでおきたい。写真はイメージ=PIXTA
2018年もあと3週間あまり。そこで、今年の求人市場がどのように動いたかを振り返ってみましょう。どんな背景で、どんな企業が、どんな人材を求めたのかをお伝えします。この傾向は来年もしばらく続くと見込まれますので、ぜひ転職の計画やキャリアプランを立てるヒントにしてください。
採用意欲が旺盛な企業の特徴
18年の求人市場を振り返ると、人材不足感がさらに強まったと感じます。特にベンチャー企業による採用が活発化しました。近年、行政機関や金融機関、大手企業などがアクセラレータープログラム――つまり、スタートアップ企業に対し資金や人材などを提供して成長を支援する取り組みが多く見られます。
マーケット環境も良好であることから投資意欲も旺盛で、アイデアや情熱があれば誰でも起業できる状況になっています。このように、ベンチャー立ち上げ・育成のムーブメントが起きているのを背景に、成長中のベンチャー企業による採用が活発化しました。
一方、大手企業においても、時代の変化に対応すべく新規事業創出を図る動きが活発化し、それに伴う採用が動きました。どんな企業が動いていたか、具体的に紹介しましょう。
●「〇〇テック」ビジネスを手がける企業
採用に意欲的な企業のビジネスモデルに目を向けると「〇〇テック」を手がける企業が目立ちました。金融領域の「フィンテック」ほか、人材領域では「HRテック」、教育領域では「エデュテック」、広告領域では「アドテック」など。従来からある事業や業務にテクノロジーを掛け合わせることで、新たなビジネスモデルや仕組み、ツールなどを生み出す企業です。
●AIの活用に取り組む企業
どの企業も自社ならではのデータベースを持っているため、それをいかに活用するかを模索しています。人工知能(AI)を活用したビジネスモデルやサービスを生み出すことを目的に、事業開発やマーケティングの求人が見られました。
こうした企業がコンサルティングファームに依頼するケースも増えており、コンサルティングファームでも数百人規模の採用を進めていますが、「やはり自社で推進したい」という企業も多くあります。AI関連ビジネスやデータベース分析などの経験がある方が転職活動を始めると、瞬時にオファーが殺到する状況が続いています。