将棋で磨く「仕事の勘」 ゴール目指す戦略立案力培う
「仕事は将棋に置きかえればうまくいく」 加藤剛司氏

藤井聡太七段の快進撃が続き、将棋に関心を持つ人が増えている
中学生でプロになった藤井聡太七段の快進撃もあり、将棋ブームが続いている。将棋の考え方にはビジネスとの共通点が多いとされ、将棋好きの経営者も少なくない。「仕事は将棋に置きかえればうまくいく」(扶桑社)を書いた、アマチュア有段者で放送作家の加藤剛司氏は「仕事に役立つ戦略立案能力を磨くうえで、将棋はまたとない方法」と話す。将棋をビジネスに生かすノウハウを聞いた
将棋、勝利の秘訣は戦略にあり
2018年2月、中学生だった藤井五段(当時)が公式戦で羽生善治竜王を破った。この歴史的な対局をみて、将棋の奥深さを伝えたいと思ったのが、本を書くきっかけになったという。加藤氏は「将棋の考え方は汎用性が高く、ビジネス以外にも受験や恋愛など、人生の節目で判断を助けてくれる」と話す。

加藤剛司氏
とりわけ仕事に役立つのは、将棋の「戦略を立てて臨む」「戦略をきちんと実行する」点だという。「玉を詰ませるというゴールに向け、理詰めで布陣を組み立てていくところはビジネス戦略に通じる」(加藤氏)
仕事の場面でも契約獲得や新製品開発といった目標を掲げる場面は多いだろう。ただ、戦略・戦術を立てて着実にステップを踏んでいかなければ、達成はおぼつかない。事情が変わってプロジェクトが立ち往生することもあるだろう。加藤氏は「序盤からきちんと攻め方を決めて実行し、状況に応じて戦略を組み直していく。そんな将棋のマインドが仕事にも生きる」と強調する。
経営資源の配置、駒に見立てると…
将棋では、盤面の駒をみて戦力を分析し、形勢を判断するスキルが欠かせない。ビジネスでも、たとえば販売スタッフの人数や広告露出の量などを「戦力」と見なし、有効な配置を考えれば「余剰戦力を見つけて、効果的なポジションに配置するような判断もできるようになるのではないか」(加藤氏)。