思わぬ業種にチャンス 仕事のワクワク取り戻す転職
エグゼクティブ層中心の転職エージェント 森本千賀子

転職で仕事にワクワク感を取り戻したい人は多い。写真はイメージ=PIXTA
まもなく新しい年を迎えますが、この年末年始に転職を真剣に考えている方も大勢いることと思います。ことし転職活動をしたものの納得できる求人に出合えなかった方、来年は転職活動を始める予定だけどやりたいことがよくわからないという方に、ワクワクできる仕事に出合うためにはどんなポイントで考えればよいのかを紹介しましょう。3人の事例は、当初は本人が想定もしていなかった転職先ですが、それぞれが生き生きと働いておられます。
仕事のワクワク感を取り戻す転職
私が転職相談でお会いする方々の中には、「現状に対して特に不満や問題はないのだけど、よりよいところがあれば転職を検討したい」というケースが少なくありません。しかもその多くが、今の会社で十分に実績を上げ、評価され、安定した地位を獲得している方です。
ビジネスパーソンは、経験を積むほどに求められる役割が増えていき、それらを「こなす」ことに精いっぱいで、仕事を楽しむ余裕がなくなりがちです。そうして「ワクワク感」が欠乏するようになると、現状を飛び出して、自分にとって最適な新しいステージを探し始める傾向が見られます。
しかし、「ワクワクしたい」という潜在願望があるだけで、「どのように転職先を選べばいいのかわからない」という方が意外に多いのです。どんなポイントにフォーカスすれば、次の仕事を選ぶ軸が定まるのでしょうか。実際の転職事例を交えて紹介していきます。
ポイント1 今の仕事で「面白い」と感じること
Mさん(30代男性)は仕事に物足りなさを感じていました。金融機関に勤務し、投資先企業の経営支援を手がけてきたのですが、事業の「当事者」として責任を負うことはありません。「アドバイスするだけでなく、自分の手で戦略を推進してみたい」と、事業会社への転職を希望されました。
最初の転職相談時、Mさんが希望として挙げたのは「大きく成長する可能性を秘めたベンチャー企業」。業種や商材などの希望は特になく、とても漠然とした状態でした。
成長中のベンチャー企業、しかも新規株式公開(IPO)が視野に入っている企業では最高財務責任者(CFO)を求めており、Mさんの経験を生かせる選択肢は複数あります。しかし、成長力のある企業でさえあれば彼が満足するかというと、そうではないと感じていました。