多様な人財支えてこそリーダー 経営者たちは変わった
識者に聞く(下) G&Sグローバルアドバイザーズ社長 橘・フクシマ・咲江氏

橘・フクシマ・咲江 G&Sグローバルアドバイザーズ社長
「私のリーダー論 識者に聞く」の2人目はヘッドハンターとして数多くの経営者を間近で見てきた橘・フクシマ・咲江氏。10社以上の社外取締役を歴任し、人材サービス企業の経営者も経験したフクシマ氏に、グローバル時代の経営者に求められるリーダーシップについて聞いた。(前回の記事は「ストーリー語り、納得させる 変革リーダーの条件」)
日本のリーダーに欠けていた「多様性」
――「私のリーダー論」に登場した経営者の傾向として感じたことはありますか。
「ユニチャームの高原豪久社長の言葉『人は育てるものじゃない、育つものだ』が神髄かなと思いました。自律性を持って自分たちで考えさせて自分たちでできるようにする。これが過去の日本企業の『人財』育成に欠けていたことだと感じていました。高度成長期はそれが必要なかったのです。方向性を与えれば同じ考えの人たちが一斉に動くわけですから」
「今は過渡期で、過去数十年の低成長の時代をどう抜け出すか悩んだ結果、自律性の重要性に言及される方が増えたのだと思います。激変する世界では、多様な選択肢から優先順位をつけて選んでいかないといけない。だから直感、先を読む力、スピード感のある実現力が次のリーダーに必要だと強調されている方が多いのでしょう」
――長年、経営人材を見てこられたフクシマさんから見て、日本のリーダーの変化は。
「30年近くこの仕事をしてきましたが、当時は日本人でグローバルに活躍できる人財を見つけるのは大変でした。その一番の理由は、『多様性を生かす』ことに日本人が慣れていなかったからです。当時日本はずっと同じ会社で『あうんの呼吸』で仲間と仕事をして成功のキャリアパスも1本という時代。日本企業から欧米企業への転職に戸惑う方も少なくありませんでした」
「最近は、企業の成長には、外国籍社員など多様な人財を使う必要があるため、随分変わってきています。SOMPOホールディングスの桜田謙悟社長は海外駐在でカルチャーショックを受けて、それによって多様性の重要さを認識したと話されていますね」