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『会計の世界史』に続く4冊はそれぞれ本コラムでこれまでに紹介してきたが、青山ブックセンター本店の中田麻美さんは最新の新刊から2冊を推薦してくれた。一冊は先週末に店頭に並んだばかりの前田裕二『メモの魔力』(幻冬舎)、もう一冊は11月刊のクリスチャン・マスビアウ『センスメイキング』(斎藤栄一郎訳、プレジデント社)だ。

メモで語る生き方本

青山ブックセンター本店の中田麻美さんのおすすめは最新刊から2冊

青山ブックセンター本店の中田麻美さんのおすすめは最新刊から2冊

前田氏はライブ動画配信を手掛けるショールームを起業した社長。おびただしい数のメモをとる同氏が、メモで人生を切り開くすべを明らかにした本だ。メモといえば、ビジネススキルの本かと思われがちだが、「メモは生き方である」と著者は言い切る。思考を深めたり自己を知ったりするツールとして、具体的なメモの書き方を語る一方、伝えたいことは「ノウハウ」ではなく、知的創造に対する貪欲なスタンスであり、その基本姿勢こそ身につけてほしいと書き付ける。「入荷初日からきょうまでの売れ方が過去にない勢い。メモで人生を変え、世界を変えるとまでいう熱量を多くの人に感じてほしい」と中田さんは言う。

マスビアウ氏の本は人工知能(AI)やアルゴリズムの存在感が日増しに大きくなっている今、人文的な知識がいかに重要かを考察した論考だ。同氏は人間科学を基盤にした戦略コンサルティング会社を率いる。「データ主義や工学的思考がもてはやされる中で、重要な視点。勢いよく売れるというタイプの本ではないが、じわじわと売れ続けている」と中田さんは話す。

トランプ大統領や白川前日銀総裁の本も

紀伊国屋書店大手町ビル店の西山崇之さんは店で一番売れた2冊をすすめる

紀伊国屋書店大手町ビル店の西山崇之さんは店で一番売れた2冊をすすめる

紀伊国屋書店大手町ビル店の西山崇之さんは、同店で今年よく売れた本のワンツーをすすめてくれた。一冊はボブ・ウッドワード『FEAR 恐怖の男』(伏見威蕃訳、日本経済新聞出版社)。米紙ワシントン・ポストの記者がトランプ米大統領の意思決定の現場をつぶさに再現した内容だ。最近もマティス国防長官が辞任表明するなど、トランプ大統領のホワイトハウスの混迷ぶりは深まり続けている。「国際政治や経済の本はあまりヒットしにくいが、この本は好調な売れ行きが続いている」と西山さんはいう。

もう一冊は白川方明『中央銀行』(東洋経済新報社)。前日銀総裁が自身の日銀マンとしての軌跡を振り返りながら中央銀行の本質を考察した700ページを超える大著だ。「大手町はとにかく金融関係の本がよく売れるが、その中でも別格の売れ方」と西山さん。白川氏の後を受けた黒田日銀で副総裁を5年間務めた岩田規久男氏による『日銀日記』(筑摩書房)も少し遅れて刊行されたが、この店では白川本の方が売れ行きがいいそうだ。

5つの書店の特徴を反映して多彩な本が並んだ。ある程度まとまった時間のとれる年末年始の読書の参考にしてほしい。

(水柿武志)

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