オフィスの生産性上げる 「仕事ハック」思考
「最強のライフハック100」 小山龍介氏

斬新なアイデアを生むには雰囲気も大事? 写真はイメージ=PIXTA
働き方改革の一貫でオフィスの生産性が注目されている。生産性といえば、時間あたりの成果を測るといったイメージだが、「最強のライフハック100」(SBクリエイティブ)を書いた小山龍介氏は「短絡的な割り算は本来のパフォーマンス向上を妨げかねない」と指摘する。小山氏に、オフィスの生産性についての考え方や知恵を聞いた。
明るく働く知恵、シリコンバレーから
「ライフハック(Life Hack)」とは、仕事の質や効率を高める工夫や小技、発想法などの総称だ。米国のIT(情報技術)業界周辺から広まったとされ、小山氏は米国でインターンシップを経験した2000年代初めに、この言葉に触れたという。
米アリゾナ州立大学のサンダーバード国際経営大学院でMBA(経営学修士)課程に身を置いていた当時、目の当たりにしたシリコンバレーで起業家たちの仕事ぶりは、いかにも楽しげだった。小山氏は、まずそれに驚いたという。
「日本の働き手は深刻な雰囲気なのに、どうしてシリコンバレーの人たちはポジティブで明るいのか」。そんな疑問を彼らにぶつけてみると、「人間の集中力には限りがある。長時間労働には意味がない」という声が多かったという。小山氏は彼らの働き方を支える発想やテクニックを日本でライフハックとして紹介するようになった。
ライフハックは「手抜き」と同じではない。無駄な手間を省くという点では似たところもあるが、成果の質を犠牲にせず、むしろ高めると期待できるところが大きく違うという。小山氏は「サクッと解決といったニュアンスがある」と説明する。
椅子がなければ、箱や机を代わりにするといった臨機応変のアイデアで、困難をかわすイメージだ。「もっと生産的なことに時間を使うため」という目的意識が働いているのも、ライフハックの特質といえるだろう。