職場の雰囲気を明るく! 笑いを誘う「返し」の言葉
人材研修コンサルタント 中北朋宏氏
では、具体的にどのような「返し」のパターンがあるのでしょうか?
図1をご覧下さい。

図1
(1)繰り返し 「お前は本当にバカだな」→「誰がバカですか?」
小馬鹿にした言葉に対して返すときに使います。「誰が」だけをつけて同じことを繰り返します。もちろん、上司や先輩へ返す場合は、「ですか?」と敬語に言い換えることが必要です。タメ口をきいた時点で「何だお前は?」と違和感を持たれてしまいます。
(2)例え返し 「使えないやつ」→「人を期限切れクーポンみたいに言わないでください」
言い換えられる言葉を連想しやすいときの返しで使うと最適です。〇〇の部分に使えないものを入れます。ほかに、壊れかけのラジオ、ジンバブエ・ドル(2015年に廃止された)、ポケベルなどもあります。
(3)ノリ返し 「だからダメなんだよ」→「確かにダメと言われますけど」
強い調子で叱責され、例える言葉も思い付かないときに使います。相手の指摘にノッたふりをして話を展開します。
少し笑いながら話す
これらを使用する上で注意点があります。必ず、少し笑いながら話すことです。まじめな顔で返答をすると、相手をさらに怒らせかねませんし、周りの人からは「あれ、マジに怒ってしまったの?」と敬遠される恐れがあります。一流の毒舌芸人さんをみると、辛辣な言葉を発するときは笑みを浮かべて、周りを萎縮させませんよね。
ただ、返しの技を最初に使うには勇気がいりますし、習得にも時間がかかります。そこで、最初は練習として自分に対して言われた言葉ではなく、誰か周りの人が言われたときに使用してみて下さい。通常は「まぁまぁ、そう言わずに」などと仲裁に入ることがあるかと思います。
A上司「お前は、本当に使えないやつだな」
Bさん「すみません」
あなた「そんなA上司、Bを使えないクーポンみたいに言わないでくださいよ。やれば出来るやつですから」
と「横から失礼します」といったイメージで会話に入っていくと良いでしょう。このお節介にも見えるリスクを取るだけで、みんなから「よくぞ言ってくれた」という共感を得られることと思います。Bさんは助けてもらったと感じますし、A上司も言いすぎたと感じているが後に引けない場面を救われるからです。ぜひ働きづらいギクシャクした空気に、返しの技術で風穴を開けて下さい!