博報堂がしかける未来の事業 広告現場の言葉で考える
リブロ汐留シオサイト店

メインの平台の中央付近に展示する(リブロ汐留シオサイト店)
ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測しているリブロ汐留シオサイト店だ。年末は例年より好調な売れ行きだったが、年明けは人の戻りが遅く、本の動きが少々鈍い。そんな中、書店員が注目するのは、広告会社が携わった様々な課題解決の事例を関係者の言葉から描き出した本だった。
「発明」する主体を目指す博報堂
その本はイノベーションデザイン編集会議『INNOVATION DESIGN』(日経BP社)。著者になっているイノベーションデザイン編集会議は、この本をつくるために広告会社、博報堂内に設けられた組織で、社内の様々な部門からメンバーを集めた取材チーム。このチームが全社のイノベーション事例を集め、まとめたのがこの本だ。副題には「博報堂流、未来の事業のつくり方」とある。
冒頭、編集会議のリーダー、吉澤到氏が博報堂のイノベーションへの取り組みの全体像を語る。博報堂は「従来の広告業の範疇を超えて、みずからさまざまな商品やサービス、事業やメディアをつくる会社に、そして『発明』する主体になろうと変革を始めている」という。その事例が6章構成で展開されていく。
第1章は「なりたい未来」と題され、パナソニックが2018年に発表した新たな家電戦略「100周年 家電ビジョン」に参画した事例や、トヨタ自動車の「未来年表」に関わった事例などが紹介される。いずれも実際にプロジェクトに参加した当事者へのインタビューや当事者を交えた座談会で紹介しているのがポイントだ。