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「私なんか」という印象操作

あるプロジェクトの立ち上げが決まり、メンバーを推薦することになったとき、自分は興味があるということを遠慮がちに口にする。周囲がそれを汲み取って、それでは推薦しようという話になると、

「でも、私なんかじゃ、力不足だし……」

「もっと適任の人がいるだろうし……」

などとグダグダ言う。

図々しく見られたくないといった思いが強いのだ。だから、これでもか、これでもかといった感じに謙虚さを示そうとする。無意識のうちに印象操作をしようとしているのである。

(やりたいんじゃないのかよ、ほんと面倒くさいなあ)

と思いつつ、遠慮しなくていいんだよ、自信をもってといった感じで励ましてやるしかない。

これでもかと謙虚さを示す人間の本性

やたら自己卑下するタイプも面倒だ。

何かにつけて、

「自分はダメだ」

とこぼす。

「みんな仕事ができるからいいよね。私なんか、要領悪いから、ヘマしてばかりで……」

「いつもみんなの足を引っ張っちゃってるみたいで……」

「できる人が羨ましい。私、ほんとに不器用だから……」

とにかく自分の無能を嘆き、「できない」アピールに余念がない。

「できる」アピールならわかるが、なぜ「できない」アピールをするのだろうと不思議に思う人もいるかもしれない。それは励ましてほしいからだ。

「そんなことないよ」

と言ってほしいのだ。

この場合も、こっちに言ってほしいセリフがみえみえなだけに、

(ほんとにもう、いい加減にしてくれよ)

とうんざりしつつも、お決まりのセリフで否定し、励ましてやるしかない。

 榎本博明
 心理学博士。MP人間科学研究所代表。
 1955年東京生まれ。東大卒業後、東芝勤務をへて都立大大学院心理学専攻博士課程中退。大阪大学大学院助教授などをへて現職。著書に「『上から目線』の構造」など。

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