励ましてアピールが暑苦しい 過剰な遠慮の面倒くささ
タイプ8・「謙虚な自分」を売り物にする
「私なんか」という印象操作
あるプロジェクトの立ち上げが決まり、メンバーを推薦することになったとき、自分は興味があるということを遠慮がちに口にする。周囲がそれを汲み取って、それでは推薦しようという話になると、
「でも、私なんかじゃ、力不足だし……」
「もっと適任の人がいるだろうし……」
などとグダグダ言う。
図々しく見られたくないといった思いが強いのだ。だから、これでもか、これでもかといった感じに謙虚さを示そうとする。無意識のうちに印象操作をしようとしているのである。
(やりたいんじゃないのかよ、ほんと面倒くさいなあ)
と思いつつ、遠慮しなくていいんだよ、自信をもってといった感じで励ましてやるしかない。
これでもかと謙虚さを示す人間の本性
やたら自己卑下するタイプも面倒だ。
何かにつけて、
「自分はダメだ」
とこぼす。
「みんな仕事ができるからいいよね。私なんか、要領悪いから、ヘマしてばかりで……」
「いつもみんなの足を引っ張っちゃってるみたいで……」
「できる人が羨ましい。私、ほんとに不器用だから……」
とにかく自分の無能を嘆き、「できない」アピールに余念がない。
「できる」アピールならわかるが、なぜ「できない」アピールをするのだろうと不思議に思う人もいるかもしれない。それは励ましてほしいからだ。
「そんなことないよ」
と言ってほしいのだ。
この場合も、こっちに言ってほしいセリフがみえみえなだけに、
(ほんとにもう、いい加減にしてくれよ)
とうんざりしつつも、お決まりのセリフで否定し、励ましてやるしかない。

1955年東京生まれ。東大卒業後、東芝勤務をへて都立大大学院心理学専攻博士課程中退。大阪大学大学院助教授などをへて現職。著書に「『上から目線』の構造」など。
※「かかわると面倒くさい人」(日経プレミアシリーズ)では、タイプ別の分析に加えて、その深層心理や上手なかかわり方、自分がそうならないために心がけたいことなど、多角的に「面倒くさい人」を掘り下げています。あなたの面倒くさい人タイプを診断する特設ページもご覧ください。