東へ西へ進路は自在 浜松北高、自然体の「自主独立」
静岡県立浜松北高校の松本直己校長に聞く

静岡県立浜松北高校の松本直己校長
水泳ニッポンの礎を築いたとされ、NHK大河ドラマ「いだてん」で後半の主人公になる田畑政治は静岡県立浜松北高校(旧浜松第一中学校)の出身だ。静岡県有数の進学校で浜北と呼ばれる同校は、文部大臣を務めた有馬朗人・元東京大学総長や南壮一郎ビズリーチ社長、ジャズピアニストの上原ひろみさんなどを送り出してきた。創立125年の節目を前に、松本直己校長から浜北がめざす教育や強みを聞いた。
「医学部に強い公立」の評も
東海の地の利を生かし、首都圏と関西圏の両方に進学者の裾野を広げるのが浜北の特徴だ。2018年3月の卒業生は394人(男子231人、女子163人)。同年の浪人を含めた大学合格実績は東京大学の12人に対し、京都大学が20人、大阪大学も10人を数えた。松本校長は「静岡県は地理的に横長。在校生や保護者が進路を柔軟に考える傾向がある」と、「東西自在」の進学実績を説明する。
18年春の実績に基づく民間のランキングでは、「医学部に強い公立高校」の全国トップに位置づけられた。「地元に国立の浜松医科大学があることが大きい」(松本氏)といい、18年も17人が合格。国公立の医学部には京大や広島大学などに31人が合格し、私立の北里大学、杏林大学、順天堂大学、独協医科大学、愛知医科大学などにも複数の合格者を出している。医療機関が多く、医師を志す風土が根付いていることも後押ししているようだ。
浜松市は、本田宗一郎が1946年に本田技術研究所を起業した「ホンダの発祥の地」としても知られる。スズキやヤマハも本社を構える工業都市で、浜北生の保護者にも関連企業に勤める人が少なくない。理系志望が強まるのも自然な流れなのかもしれない。18年の首都圏の私立大への合格実績をみると、東京理科大学が49人でトップとなり、早稲田大学の44人、慶応大学の25人を上回った。