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根付く自主の精神、進路選びにも反映

「自主独立」の校風で知られる。似たような校訓を掲げる高校は珍しくないが、実は浜北では「校訓」ではない。「学校教育目標」の中に「自主独立の精神を基盤として」と盛り込んではいるものの、もっと自然に根付いているという。だから、進路も「全校1200人に1200通りの選択があって当たり前」(松本氏)と多様性を重んじる構えだ。

およそ1200人が学ぶ校舎

およそ1200人が学ぶ校舎

たとえば、生徒は2年生になる際に文系と理系に分かれるが、選択は生徒の意思に任されている。これは当たり前のように響くが、教員の人数や施設の制約に合わせようと文系と理系の志望人数の「誘導」を図る学校もあるのが現実だ。「浜北では生徒の希望優先。アンバランスになっても仕方がない」(松本氏)。生徒の希望に対応できるよう時間割づくりや人繰りに力を割いているという。

浜北の「3大行事」と呼ばれる学校祭、合唱大会、運動会も生徒会が主導する。学校側は生徒の取り組みを見守り、「頼られたら助ける」という距離感を保つ。

なかでも特徴が際立つのが7月の合唱大会だろう。ヤマハや河合楽器製作所、ローランドなどの楽器・音楽関連メーカーが立地する「音楽の都」らしい行事だ。会場は国内有数の本格的音楽ホールである「アクトシティ浜松」。「目の色を変えて打ち込む生徒が多い。ピアノを弾ける生徒がクラスに必ずいるのも浜松らしい」(松本氏)。こうした行事は生徒のパワーのバロメーターにもなっている。特に9月の運動会が例年以上に盛り上がると「教師側は『今度の大学入試はうまくいきそうだ』と感じる」のだそうだ。

「異才」育つ環境、地域の理解も

松本氏は「地方公立のよさと強みを大事にしたい」と繰り返す。一番の「よさ」は、地域の理解だ。たとえば、浜北には有力進学校では珍しくない「特進コース」がない。一般的な特進コースは、東大や京大を目指す生徒を集め、特別のカリキュラムを用意する。松本氏は「進学実績を意識しないわけではないが、自主独立の考えを地域に理解していただいている。地域と二人三脚で進んでいけるのが、地方公立のメリット」と話す。

浜北の役割について松本氏は「大きな器をつくってあげるのが、我々の役目。生徒のキャパシティーを広げたい」と説明する。人の命を預かる医師の道を志す生徒が多いこともあり、「点数さえ取れれば構わないという発想は危うい」。地域や社会の期待を学校側が理解しているのも浜北の魅力だろう。

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