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「強み」は卒業生とのつながりだ。アイドルグループ「欅坂46」の織田奈那さんが高校生役で出演した短編映画「未来のあたし」を撮った豊島圭介監督は浜北出身で、ロケに母校を選んだ。この映画づくりを支えたクリエーティブディレクターの原野守弘さんもOBで、「日本は、義理チョコをやめよう。」と呼び掛けた、チョコレートブランド「ゴディバ」の広告でも知られる。

浜松北高の歴史を示す「百周年記念資料館」。オリンピック関連の資料も展示されている

浜松北高の歴史を示す「百周年記念資料館」。オリンピック関連の資料も展示されている

浜北出身の「異才」も多い。カレー研究家の水野仁輔さん、「地ソース」の旗手、トリイソースの鳥居大資社長、クイズ作家の日高大介さんなど多士済々だ。女性では、女性弁護士の草分け的な存在の渥美雅子さん、経営学者の大薗恵美一橋大学大学院教授が知られる。歌手の宇多田ヒカルさんをデビュー当時から宣伝面でサポートしてきた梶望さん、世界的なサックス奏者の須川展也さんら、音楽の関係者もいる。ノーベル賞の苗床になった光関連メーカーの浜松ホトニクスにも出身者が少なくない。

卒業生との絆、幅広い授業に

こうした卒業生が課外授業を行う機会もしばしば設けられる。18年だけでもCMディレクター、弁護士、起業家、勤務医などが母校の教壇に立った。「様々な分野で活躍する卒業生が在校生に刺激を与えてくれる。卒業生組織の活動が盛んなのも、生徒に多様な選択肢を示してくれている」と、松本氏は「縦の絆」の価値を強調する。

気風の面では、積極性が浜北の特徴という。たとえば、18年の高校生模擬裁判選手権(日弁連主催)の関東大会では、浜北が優勝した。東京地裁を舞台に架空の事件を通して法廷闘争を繰り広げた。「理系以外のコンテストでも、募集を告知すると、すぐに参加者が集まる。知的におもしろがる気質が強い」。松本氏は浜北に息づく「やらまいか(やってみよう)」精神を頼もしくみる。

浜松市が首都圏や関西圏と程よく離れているせいか、「生徒も保護者も視野が広い。ダイバーシティー(多様性)が求められる時代にふさわしい学び方や進路を選択しやすい」(松本氏)

一般に「二兎(にと)を追う」という言葉は、どっちつかずの悪い判断とされるが、浜北では「二兎も、三兎も追う」のが当たり前の態度だ。「勉強だけで終わらないのが浜北魂」という松本氏は、浜北生の欲ばりなチャレンジの背中を押し続ける構えだ。

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